「一般貨物自動車運送事業の標準的な運賃」告示から1年〜持続可能な物流の実現に求められること〜

製品パンフレット

Cariotの機能、料金パッケージなどが掲載されたパンフレットです。 Cariotを導入することで何ができるようになるのか、具体的にどう変わるのか、ユースケースごとにご紹介しています。

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こんにちは。Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。

2020年4月に国土交通大臣が「一般貨物自動車運送事業の標準的な運賃」(2023年までの時限立法)を告示してから、1年が経ちました。
物流業界の課題である深刻な人手不足の解消、労働環境改善を行うためには、運送事業者が適正な運賃を収受し健全な経営ができる環境を整備する必要があります。
それらを実現するために告示された「標準的な運賃」ですが、現在の導入状況はどのようになっているのでしょうか。

今回は、「標準的な運賃の告示制度」の現状と、「ホワイト物流」の実現をサポートするCariotの機能についてお伝えします。

 

1.運送事業者の経営健全化に欠かせない「標準的な運賃」

1-1.「標準的な運賃」導入の目的

昨年、Cariotブログでもお伝えしましたが「一般貨物自動車運送事業の標準的な運賃」とは、貨物自動車運送事業法の一部を改正したものです。

同法は、運輸審議会からの「運送事業者が適正な運賃を収受しにくい環境を改善し、法令を遵守しながら持続可能な物流を維持するためには『適正な運賃』を示すことが効果的である」 との答申を受け改正されました。
法改正時には、取引の適正化を目的に算定した「運賃表」も公表され、運送事業者が荷主側と運賃交渉をする際の下支えとなることが期待されています。

<「標準的な運賃」の目的>

  • 輸配送事業者の経営健全化
  • ドライバーの賃金を全産業の標準的水準に引き上げる
  • サプライチェーンの安定的な維持
  • ドライバーの労働条件改善

参照:国土交通省「改正貨物自動車運送事業法に基づく標準的な運賃について(告示:令和2年4月24日)

画像:国土交通省「改正貨物自動車運送事業法に基づく標準的な運賃について(告示:令和2年4月24日)

輸配送事業者が「標準的な運賃」の料金表に合わせて運賃の変更を行う場合 、貨物用自動車運送事業報告規則第2条の2に基づき、新たな運賃を設定後、30日以内に運輸局長に対し運賃料金の設定変更届をしなければなりません。
運賃の変更を届け出る際は、荷主の合意や承諾は要件には含まれず、輸配送事業者とそれを受理する運輸支局間だけで成立します。
そのため、届け出をすれば輸配送事業者が自動的に適正運賃を受け取ることができるわけではなく、その運賃を元に、改めて荷主・顧客との交渉を行う必要があります。

1-2.届け出数は低調。その原因として考えられること

それらと並行し、物流業界では、誰もが働きやすく適正な賃金を受け取ることができる「ホワイト物流」が開始されるなど、従来からの課題解決に向けた取り組みが、すでに始まっています。
このような課題を解決するためにも、「標準的な運賃」による運送事業者の経営安定化が必要です。

国土交通省や関連団体の後押しがある中で開始された「標準的な運賃」によって、輸配送事業者と荷主間で順調に運賃交渉が行われることが期待されていました。
しかし、2021年1月末時点の届出件数は2,767件 と低調なままです。

届出数が増加しない原因として、下記の点が考えられます。

  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大による業務量の減少
  • これまでの運賃設定と標準的運賃の金額差が乖離(かいり)している
  • 荷主に対する効力に法的根拠がない
  • 届け出を行っても適正な運賃を受け取ることができるとは限らない

「標準的な運賃」が告示された2020年4月は、新型コロナウイルス感染症の拡大で緊急事態宣言が発出され、人々の生活や社会活動が一定の制限を受け、民間企業・事業所もさまざまな影響を受けた時期と重なりました。

物流においては、需要バランスの変化や、輸出入の停滞の影響による荷量の減少などが発生しました。これは、輸送を行う企業・事業者の仕事が減少することを意味します。
その反面、コロナ禍ならではの需要増加により、製品の増産が続き利益を伸ばす企業も存在します。

このような状況下では、需要が増加した一部の企業に対し、業務量が減少した運送事業者が殺到することは想像に難くありません。
そのため、その企業から長年、業務を請け負っていた輸配送事業者は「標準的な運賃」の受領に向けた値上げ交渉がしにくい、または、できる状況にないなど、運送事業者が適正な運賃を収受するための環境整備を進めにくい現状があります。

現在、緊急事態宣言に準じた「まん延防止等重点措置」が適用された地域があり、社会・経済の先行きが見通せないことも、運賃値上げ交渉のタイミングをより難しいものにしている原因となっています。

1-3.持続可能な物流の実現に向け、官民一体で続く取り組み

運送事業者側は、荷主に対して運賃値上げ交渉を行うことで契約が打ち切られるなど、自社の事業の継続が困難になる事態は避けなければなりません。しかし、コストに見合った運賃を受け取ることができないことも、事業継続を難しくする大きな原因となります。

物流を途絶させず維持するためには輸配送事業者の経営健全化が欠かせませんが、社会情勢の変化の有無を問わず、荷主に対する交渉はしにくいものです。
運送事業者が荷主に対し円滑な運賃交渉を行い「標準的な運賃」を導入するためには、荷主側の協力・配慮は欠かせません。
加えて、関連省庁・団体からの、さらなる後押しやサポートも重要です。

現在、「標準的な運賃」の導入に向けて、関連省庁や団体では、どのような取り組みが行われているのでしょうか。

「標準的な運賃」の告示以降、すでに荷主側に対して「標準的な運賃」のさらなる理解促進を図るため、パンフレット・リーフレットの送付や周知活動、セミナーの実施、荷主業界向け専門紙への広告掲載などが行われています。
上記の取り組みに加え、全日本トラック協会(以下、全ト協会)は、2021年度を「標準的な運賃」の重点期間と位置づけました。国土交通省や各都道府県のトラック協会と連携し、8割程度の事業者の届出を目指す「標準的な運賃普及推進運動(仮称)」を展開 する予定です。
今後、月に1度、届け出の状況把握と情報共有を行うなど、引き続き、荷主に対する指導や啓発を実施するとしています。

画像:全日本トラック協会「標準的な運賃 荷主企業向けパンフレット

「持続可能な物流」を実現するためには、「標準的な運賃」の導入と並行し、荷主・輸配送事業者の双方が業務効率化・生産性向上に向けた取り組みを進めることも大切です。その際に役立つものが、業務のIT化・デジタル化です。

過去のCariotブログでもお伝えしましたが、2021年4月から開始された新たな「総合物流施策大綱」では、サプライチェーン全体の効率化に向け、システムの導入によるIT化・デジタル化が推進されています。

システムを導入し、日々の業務を「見える化」することは、課題や改善項目を具体的な数値として発見することを意味します。業務効率化・生産性向上に導く「動態管理システム」を活用してみてはいかがでしょうか。

※新しい「総合物流施策大綱」の詳細は、国土交通省のHPをご覧ください。


 

2.物流業界を「ホワイト」にしていくために

2-1.人手不足と労働環境改善のカギは「デジタル化」

誰もが働きやすい「ホワイトな物流」を実現するためには、関連省庁や関連団体からのサポートと並行し、付帯作業など従来からの商慣行の見直しや、自社の業務効率化を進める必要があります。

業務効率化を推進するためには、アナログ管理から脱却し、業務実態を正確に把握・分析ができる「動態管理システム」を導入が効果的です。

<「動態管理システム」導入のメリット>

  • 自動的にドライバーの「今」の状況を正確に把握することができる
  • 業務を正確な数値として捉えることで、業務内の課題を発見することができる
  • 具体的なデータを元に効果的な施策案の立案ができる
  • 急な変更や依頼が発生した場合でも、スムーズな対応ができる
  • 荷主や顧客との情報共有が簡単に行なえる
  • 把握が難しいドライバーの業務ステータスが見える化できる
  • ドライバーごとにバラツキがあるルート設計を平準化できる
  • 記録を自動化することで、日々の業務負担が軽減できる

など

システムを導入することで、これまで把握ができていなかった荷待ち時間や付帯業務にどの程度の時間がかかっているかなどが可視化・分析できるようになります。また、これらのデータを荷主側と共有し、改善に向けた施策案の提案や、運賃交渉も可能になるかもしれません。
改善案を実施した後は、その効果を分析しブラッシュアップすることで業務効率化や生産性向上だけでなく、収益向上にもつながります。

2-2.業務実態を「見える化」するCariotの機能

モビリティ業務最適化クラウドCariotは、業務効率化の実現をサポートするさまざまな機能をご用意しています。
次にその一例をご紹介します。

■走行実績・滞在時間を確認
・走行履歴
車両が「いつ・どこを・どのような速度で走行」し、「どこで・どの程度の時間、滞在したか」を振り返って確認することができる機能です。地図上で実際の走行ルートの確認も可能です。

・駐車イベントマップ
車両が待機・滞留している場所が把握できる機能です。車両名・対象時刻・駐車時間での絞り込みも可能です。
本機能をご利用いただくことで、荷待ち時間の有無や休憩など、ドライバーの労働実態を確認できます。

■業務実態を正確に把握
・訪問自動記録(Cariotモバイルアプリ限定)
Cariotに登録されている取引先への「到着/出発/滞在時間」などの訪問実績を、自動で記録する機能です。ドライバーの操作忘れリスクを回避し、正確な訪問情報が蓄積することができます。

・訪問ステータス機能(Cariotモバイルアプリ限定)
「訪問ステータス機能」では、ドライバーが「何をしに・どこに行ったか」の記録を振り返って登録できる他、登録された訪問先での業務記録をレポートとして出力できます。

■取得したデータの分析
・ダッシュボード、レポート機能
「レポート機能」では、Cariotがリアルタイムで取得したデータを、利用者別・部署別・車両別など、目的に合わせたレポートを作成することができます。
「レポート機能」に、グラフィカルなレイアウトで表示する「ダッシュボード」機能を組み合わせることで、拠点ごと・車両×日時・車両の稼働率などがひと目で確認できます。
業務に必要な項目を自由に設定することもできるため、課題の発見や、問題の傾向が把握できます。

■配送計画/荷量管理
「配送計画」機能とは、Cariot上に直接入力、もしくはExcelテンプレートからアップロードしていただくことで、登録・編集ができる機能です。
登録された情報をもとに「計画どおりに運行できているか」や、遅延が発生している場合は「どの程度、遅れが出ているのか」について、把握・分析が可能です。

2021年3月には、新たに「荷量情報管理」機能が追加され、さらに便利にご利用いただけるようになりました。
これにより、目的地への発着状況だけでなく、予定通りに積荷が配送されているかの把握・車両の積載率の分析ができます。

荷量一覧(カード表示)のサンプル画面

荷量拠点詳細のサンプル画面

Cariotにはこの他にも、実際の走行ルートと最適なルートをAIが短時間で比較・検証する「ルート最適化」機能など、作業効率向上、時間短縮、コスト削減など、生産性向上に役立つさまざまな機能をご用意しています。

また、CariotのWebサイトでは、Cariotを導入しご活用いただいているお客様の「導入事例」をご紹介しています。
こちらもぜひ、ご覧ください。


 
 
※本記事の情報、及び画像は、記事作成時点のものです。詳しくは最新の情報をご確認ください。

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