災害から事業と社員を守る「BCP(事業継続計画)」〜国の方策は「人命最優先」に転換へ〜

Cariotで実現する遅延対策と位置情報の共有

自然災害など緊急事態において、配送スタッフの安全確保と物流網の速やかな復旧を行うには、車両の位置情報の把握が重要になります。平時から緊急事態に備える上で考慮すべきポイントについてご紹介します。

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こんにちは。Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。

日本では季節を問わず、地震や台風、豪雪・豪雨など、さまざまな自然災害が発生します。
自然災害が起きた際に、物流や流通、フィールドサービスなど、車両を使用した業務を行う企業は、走行中のドライバーの安全確保から、通常ルートが利用できなくなることによる代替ルートへの切り替えなど、短時間であらゆる対応をしなければなりません。その中で最も優先順位が高い項目として、ドライバーの命と安全の確保が挙げられます。

今回は、自然災害など危機的状況が発生した際に、人命を守りながら迅速に業務を復旧させるために欠かせない「BCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)」と、災害時にも役立つCariotの機能についてご紹介します。

 

1.頻発する自然災害への対策は「起きてから」では遅い

1-1.自然災害が物流・流通業界に与える影響

2021年3月20日、宮城県沖を震源とするマグニチュード6.9、最大震度5強の地震が発生し、鉄道では新幹線や在来線の一部で運転を見合わせた他、道路では東北道や常磐道など高速道路の各所で通行止めが発生しました。
この地震から遡ること約1カ月前の2021年2月13日には、福島県沖を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生し、福島県や宮城県の一部地域では最大震度6強を記録しました。
2月に発生した地震では、東北自動車道の一部が通行止めとなり、鉄道では東北線・羽越線を走行する貨物列車に運転見合わせや遅延が発生しました。
この地震の影響により大手飲料メーカーでは、倉庫内の製品に被害が出たり、仙台市にある一部の工場では稼働を一時停止したりしました。この他にも、配送を主軸とする大手企業では、震源地近くの地域に向けた荷物の配送・集荷に遅れが出るなど、配送業務の遅延が報道されたことは記憶に新しいところです。

自然災害が発生すると、輸配送企業・事業者では、輸送・配送の取りやめ・遅延が発生します。メンテナンスサービスなどでは、道路の損傷や通行止めなどによる迂回や交通渋滞などの影響を受け、顧客への訪問の遅れや業務の継続が困難になるなど、車両を利用し業務を行っている企業・事業所は業務に大きな影響を受けます。

自然災害発生時、企業・事業所が最初に行わなければならないことは、社員やドライバーの安全確保です。同時に、損害を最小限に抑え、速やかな業務の復旧と継続に努めなければなりません。
そのためには、平時から危機的な状況下においても迅速な対応を取ることができるよう具体的な施策と実施内容を定め、社員や関係者に周知することが大切です。加えて、必要に応じて訓練等を実施する必要があります。

1-2.国の方策は「人命優先」に転換へ

業務で車両を利用する企業・事業所は、頻発する自然災害を想定した事前準備や計画をどのように行なっているでしょうか。

自然災害が多い日本では、地震だけではなく台風や大雨、大雪も発生します。
2020年12月と2021年1月、関越道と北陸自動車道において、大雪による大規模な立ち往生が発生しました。この立ち往生の影響で輸送が一時停止しただけでなく、解消されるまでの数日間、ドライバーは車中泊を余儀なくされました。

国土交通省はこれまでも、大雪の影響による立ち往生の回避・サプライチェーンの途絶を避けるため、さまざまな対策を打ち出してきました。しかし、2020年末〜2021年1月にかけ、再び大規模な立ち往生が発生し、輸送が一時停止する事態となりました。

これを受けて、国土交通省は2021年2月17日、「冬期道路交通確保対策検討会」の会合を開催しました。
同会合で示された「大雪時の道路交通確保対策中間取りまとめ」では、これまで大雪による交通網のマヒや立ち往生が発生した場合の基本的な考え方として示していた「可能な限りネットワークを確保」から、「人命を最優先に幹線道路上の大規模な車両滞留を徹底的に回避する」と方策を転換し、「人命優先」へと舵を切りました。

過去のCariotブログでは、大雪で立ち往生が発生した際に、各企業・事業所がいち早くドライバーの安全確認と確保、車両の遅延状況を正確に把握するための体制づくりの重要性についてお伝えしました。

緊急時において、情報の取得・把握を行うためには、平時からスピーディーで正確な情報収集を可能とする体制を構築する必要があります。
並行して「BCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)」を策定し、迅速な対応を可能とする準備を万全にすることが、業務を早期に復旧・継続するためのカギとなります。
 

2.BCPとは?その役割と目的

2-1.危機的状況から迅速に復旧するために必要な「BCP」

過去のCariotブログでもお伝えしましたが、「BCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)」とは、自然災害やテロ、システム障害、感染症の発生など危機的状況において、企業・事業所が受ける被害・損害を最小限に抑え、早期に復旧し事業の継続を可能にするために必要な戦略を記載した計画書のことです。

「BCP」を策定する目的は、災害等の発生後、計画書に記載された基幹業務・重要項目・復旧手順に沿って対応することで、災害の影響を受けた倒産や事業規模の縮小の防止や、企業価値の維持・向上を図ることにあります。

中小企業庁は「BCP」を策定する際に必要な具体的な役割として、下記5項目を挙げています。

<BCPの役割>

  1. 優先して継続・復旧すべき中核事業を特定する
  2. 緊急時における中核事業の目標復旧時間を定めておく
  3. 緊急時に提供できるサービスのレベルについて顧客と予め協議しておく
  4. 事業拠点や生産設備、仕入品調達等の代替策を用意しておく
  5. 全ての従業員と事業継続についてコニュニケーションを図っておくこと

(引用:中小企業庁「中小企業BCP策定運用方針〜緊急時を生き抜くために〜

上記のことから、「BCP」は危機的な状況下においても業務の適切な運用を速やかに実行できる体制を整備・構築するために欠かせない計画書といえます。

画像:内閣府「事業継続ガイドライン-あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応-

「BCP」は、一度策定すればよいというものではなく、定期的に見直しを行い、継続的な改善を加えることで、現実に即した実行可能な「BCPの策定」という目的を果たすことにつながります。

2-2.配送・訪問業務における「BCP」作成のポイント

日頃から、車両を利用し業務を行なっている企業・事業所が「BCP策定」を作成する場合には、どのようなポイントがあるのでしょうか。

一般社団法人日本物流団体連合会が策定した「自然災害時における物流業のBCP作成ガイドライン」では、下記の項目を挙げています。

画像:一般社団法人日本物流団体連合会「自然災害時における物流業のBCP作成ガイドライン

同資料は物流関係者向けですが、フィールドサービスにおいても「BCP」策定のために必要な項目が多く含まれています。
ここからは、上記の図からフィールドサービスにおいて特に重要な項目を抜粋します。

<ポイント1:防災対策~事前の予防・被害緩和(減災)対策~>

  • 通信手段の多重化・多様化
  • データのバックアップ
<ポイント2:発災直後の措置>

  • 安否確認
  • 被害把握(建物・車両等)
  • 社内報告

など

この他にも、自然災害が発生した場合は交通網が打撃を受け、通常のルートが通行できないことが予想されます。
その際は、運行の可否を判断するとともに、ドライバーの現在地から顧客の所在地までの代替ルートの選択、運行を継続する場合は所要時間の算出を行う必要があります。

災害は突然発生するものです。平時から、即時の判断が求められる場面において、どのような対応を行うかを素早く決定・実施するための仕組みづくりと、それらを実現するための項目を盛り込んだ「BCP」の作成が必要です。

2-3.荷主が求める情報は「車両位置の共有」

「BCP」を適切に運用するためには、社内だけでなく荷主や顧客など外部の関係者とスムーズに情報伝達を行うための対策も、重要な項目として挙げられます。

国土交通省は、災害時にサプライチェーンを寸断することなく事業を継続するための「荷主と物流事業者が連携したBCP策定のためのガイドライン」を公表しています。
同ガイドラインでは、荷主と企業・事業所が連携する必要がある業務について、複数の項目とその詳細を具体的に記載しています。
ここでは、その中から重要度が高い項目を抜粋してご紹介します。

1.防災対策(事前の体制整備)

  • 発災時の被害情報等の共有等
  • ITシステムの活用及び標準化
2.発災後の措置

  • 従業員等の人的被害状況の把握
  • 荷主と物流事業者の連絡(連絡機能の確保)

※詳細は、「荷主と物流事業者が連携したBCP策定のためのガイドライン」をご覧ください。

災害時に荷主と輸配送事業者、顧客とフィールドサービス事業者間での情報共有を可能にするためには、平時から双方が「ITシステムの活用・標準化」への取り組みを進めることで、これらの課題を解消に導くことが可能です。
また、システムを導入する際は、両社が共通のシステムを利用することで、よりスムーズな連絡や情報共有ができる体制が構築できます。

ここからは、荷主側が「BCP」の策定にあたり、どのような項目を重視しているかを見てみましょう。

同ガイドラインには、国土交通省が事前に実施したアンケート結果が記載されています。
集計結果を見ると、下記の図のように、荷主側が求める対策として「輸送中の車両の位置情報の共有」の回答数が最多となっています。
このことから、輸配送事業者と荷主の双方で走行中の車両が「今・どこにいるか」に関する位置情報の共有を実現する仕組みが求められていることがわかります。

画像:国土交通省「荷主と物流事業者が連携したBCP策定のためのガイドライン

車両の「今・どこにいる」かの情報を取得し、社内外の関係者と共有するためには、GPS機能を用いて車両の位置情報などをリアルタイムで取得できる「動態管理システム」の導入がおすすめです。

「動態管理システム」を導入するメリットは、これまで把握が難しかった現場の状況を正確に把握できることに加え、精度の高い情報を元に現場への指示を的確に行うことができる点にあります。
そのため、動態システムの導入は、業務効率化や生産性向上だけでなく、危機管理や「BCP」の策定・実施においても有効な手法といえるのではないでしょうか。

 

3.「BCP」に活用できるCariotの機能

モビリティ業務最適化クラウドCariotには、日常業務だけでなく緊急時や災害時の確認・情報共有など、「BCP」を運用する際に役立つ多くの機能をご用意しています。

■車両の位置情報をリアルタイムで確認できる
<エリア機能>
リアルタイムで更新される車両の位置情報から、車両の現在地・到着予定時間を地図上で確認できる機能です。該当エリア内に滞在している車両の割り出しもできるので、災害などの緊急時にドライバーと電話でやりとりをしなくとも、モニターを見ながらドライバーの現在地を確認することが可能です。

■関係者・取引先との情報共有
<DriveCast>

輸配送事業者と関係者・取引先との情報共有ができる機能です。
Cairotを導入していない社外の関係者も、本機能で発行されるURLにアクセスすることで、走行中の車両の位置情報・到着予定時間の確認ができます。

■稼働中の車両を確認する
<車両予約、予約管理>

車両の予約をオンラインで行うことができる機能です。
複数のドライバーで車両を利用する際、管理画面から予約状況や利用実績が把握できるため、稼働中の車両が確認できます。

■ドライバーの状況確認
<到着・出発通知>

管理画面で設定した拠点において、車両が到着・出発したことを検知する機能です。
管理画面を見ていなくても、通知が管理者へ届きます。GPSの位置情報を元に自動で通知されるので、災害時に電話が通じない場合のドライバーの状況確認にも活用できます。

■ドライバーとのコミュニケーション(Cariotモバイルアプリ限定機能)
<メッセージ機能>

タブレットやスマートフォンで、管理者とドライバー間でメッセージのやりとりができる機能です。
災害が発生した場合、管理者は複数のドライバーと連絡をとる必要がありますが、本機能を活用することで同時に複数ドライバーとやり取りが行えます。

Cariotではこの他にも、業務効率化や生産性向上に役立つあらゆる機能をご用意しています。

 

4.自然災害による輸送遅延を教訓とした企業の事例

ここからは、自然災害による輸送遅延を機にリアルタイムで遅延を把握するためCariotを導入された企業様の事例をご紹介します。

愛知県の自動車関連会社様は、JIT(ジャストインタイム)の生産システムを採用しているため、トラックの遅延は生産ラインに大きな影響を与えます。
車両の位置情報などの把握を電話で行っており、位置情報の確認に長い時には2時間の時間を要していました。

2018年1月、東海地方で発生した大雪の影響で伊勢湾道路が完全にストップし、生産ラインに大きな混乱が発生したことを機に、前述の課題を解決するため、以下の2点を条件に複数のサービスを検討し、Cariotの導入を決定しました。

  • リアルタイムに車両位置が把握できること
  • ドライバーの作業が発生しないこと

Cariot導入後は常にモニタリングを行い、異常時には即、遅延時間の把握・情報共有ができるようになったため、生産ラインでの対応もスムーズになりました。また、計画と実績データを蓄積・活用することで、迅速な判断と対応を可能にしました。

Cariotの商品サイトでは、この他にも導入された企業様の事例をご紹介しています。
車両用途、車両情報、導入規模ごとの絞り込み検索もできますので、こちらもぜひご覧ください。


 
 
※本記事の情報、及び画像は、記事作成時点のものです。詳しくは最新の情報をご確認ください。

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