災害リスクにどう備える⁈ 大型台風で表面化した物流業界の課題と対策

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Cariotの機能、料金パッケージなどが掲載されたパンフレットです。 Cariotを導入することで何ができるようになるのか、具体的にどう変わるのか、ユースケースごとにご紹介しています。

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こんにちは、Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。

2019年10月、非常に強い台風が日本列島を通過・上陸しました。
各地で堤防の決壊による川の氾濫、土砂崩れなど、東日本を中心に甚大な被害がありました。また、長時間続いた大雨で、道路・鉄道といった交通網への被害が拡大し、サプライチェーンも大きな打撃を受けました。
事前に被害が予想されていたため、物流企業は事前に対策を講じたものの被害を受け、さらに課題も浮かび上がってきたようです。
今回は、「災害対策のポイントと課題」についてまとめました。

【目次】
1.災害発生!物流業界に与えた影響と課題
 1-1.自然災害が物流に与える影響
 1-2.台風で浮かび上がった問題点
 1-3.災害発生時、配送・物流が取るべき対策
2.台風による配送の遅延。どのような対策ができるのか
 2-1.発災時に必要な「素早い情報収集」のために
 2-2.交通網が寸断!他社との連携で物流ストップを回避した事例
 2-3.災害復旧に車両が足りない⁈レンタカーは使える?
3.策定していな企業が大半⁈事業継続を支える“BCP”
 3-1.BCP策定にも役立つ「5W1H」
 3-2.BCPの役割と策定に必要な要素
 3-3.BCP(事業継続計画)作成のポイント

 

1.災害発生!物流業界に与えた影響と課題

1−1.自然災害が物流に与える影響

19年10月11〜14日、東日本を中心に甚大な被害をもたらし、同29日に「激甚災害」に指定された台風19号。気象庁は、日本列島への上陸予想の数日前から記者会見を開き「最大限の警戒」を呼びかける異例の対応を行いました。
これを受けて物流各社は、配送の取り止め・ドライバーへ自宅待機を指示・ハザードマップを参照し車両を移動させるなど、さまざまな対策に努めました。
台風が通過した後、各地で倒木・土砂崩れ・道路の寸断による通行止めが相次ぎ、被害の大きさが明らかになりました。
河川の氾濫で浸水被害が大きかった地域では、輸配送企業の配送拠点や車両の水没、停電による業務遅延や一時的に業務が行えず、その他の地域でも通常の配送ルートが利用できず迂回が必要になるなど、物流は大きな打撃を受けました。

1−2.災害で浮かび上がった問題点

事前に「大雨特別警報」が出された今回の台風では、

  • 予定通りの配送ができない
  • 配送先が荷下ろしできる状況にない
  • 道路の渋滞、通行止め
  • ドライバーの安全確保

を主な理由として、配送を取りやめる企業が相次ぎました
しかし、一度は配送を取り止める決断をしながらも、顧客側からの要望で、通常通りに業務を行なった企業もあります。
大きな被害が予想される状況の中で、輸送が可能な体制作りは可能なのでしょうか。また、ドライバーを含めた従業員・車両の安全確保と企業利益・信用の維持は両立できるのでしょうか。

平時と同様の対応ができない場合でも物流を維持するためには、荷主側/荷受け側など関係する企業同士で事前に取り決めをし、それについての同意と調整をする必要がでてきます。
災害時や発災直後は、道路の寸断・激しい渋滞が発生することも予想されます。有事対応について取り決めがあると、現場の混乱を避けるのと同時に、ドライバーの安全確保に役立つでしょう。

1−3.災害発生時、配送・物流で取るべき対策

顧客の荷物を運ぶ事業者は、ドライバーの安全確保のため、業務の取りやめを検討しても、顧客側に対して一方的な通知はしづらいものです。
従業員の命を守ることは企業にとって非常に大切です。同時に、サプラチェーンのどこかが止まると、経済活動・顧客側に対して大きな影響を与えるだけでなく、製品や商品の納入が間に合わなくなった場合は賠償問題にもなりかねません。損失を被る可能性を回避することも、企業活動においては無視できません。
しかし、いくつかの要因が重なったり、やむを得ない事情で車両を動かし、物資を輸送する判断に至ることも考えられます。
企業の人的・物的財産を守りながら損失を生まない方法はあるのでしょうか。

19年10月15日付の「物流ニッポン」によると、18年9月、近畿地方を中心に甚大な被害があった台風21号、19年9月、千葉県を中心に首都圏が大きな被害を受けた台風15号など、近年、大きな災害が相次いでいることから、国土交通省と全日本トラック協会が協議し、トラック輸送にも鉄道同様に「計画運休」を導入・実施する方向で検討に入ると報じています。
いざというときのガイドラインがあれば、双方合意の元で「災害時の操業はしない」など、一定程度の抑止効果が期待でき、企業の利益・従業員・車両の安全を守る事業運営へと前進します。その実現を期待したいところです。

 

2.台風による配送の遅延。どのような対策ができるのか

2−1.発災時に必要な「素早い情報収集」のために

これまでも、災害発生時には鉄道・道路の寸断といった外的要因によって「配送の中止・遅延」が発生し、ドライバーや荷物の安全・運行状況の確認に手間取る事態が起きていました。
どのような状況でも、管理者とドライバーのスムーズな連絡・確認が可能になれば、不安は解消されます。

不安解消のために、例えば、クラウド型の動態管理システムの導入がひとつの方法です。これがあれば、ドライバー一人ひとりに電話をかけたりせず、リアルタイムでドライバーや荷物の動態管理ができるようになります。

2−2.交通網が寸断!他社との連携で物流ストップを回避した事例

勢力が915hPaと強いまま上陸した台風19号の通過により、各地で物流・交通網が寸断される中、日本貨物鉄道(JR貨物)は、被害を受けた区間が全面復旧するまでの19年10月18日〜29日の間、鉄道による迂回輸送とともに、トラック・船舶による振替輸送を行なっていました。
同社が発表していたプレスリリースによると、グループ企業や利用運送事業者等と連携して業務を継続していたことが分かります。

今後、災害規模・被害の範囲によっては、自社だけでの対応が難しいケースも起きるかもしれません。グループ企業だけでなく、同業他社・官民などと協力することによって「業務の早期復旧を目指す」という視点も必要になるでしょう。

2−3.車両が足りない⁈災害復旧にレンタカーは使える?

大規模災害発生直後にまず求められることは、「被災地域の早期復旧」と、必要な救援物資などを運ぶための車両・輸送ルートの確保です。同時に、瓦礫等の処理や輸送の需要も高まるため、トラックなど大型車を保有する事業者へのニーズも増加します。
十分な車両が稼働できればよいのですが、被災地域では輸送を担う企業自体が被災し、車両数が不足するかもしれません。その場合、レンタカーは利用できるのでしょうか?

過去の事例を調べてみると、11年3月に発生した東日本大震災の際、特定の被災地域(岩手・宮城・福島・茨城各県)への輸送について、国交省は「緊急時の対応」としてレンタカーの利用を認めたケースがあります。

参考資料:国土交通省(2011年4月5日付):「東日本大震災の影響に伴うトラック輸送対策について

素早い復旧が求められるのは、台風で被害を受けた地域も同様です。
今回は、国交省自動車局が19年10月17日付で、被災地域へまたは被災地域からの物資の運搬に必要な「特殊車両通行許可証の迅速化について~被災地域の早期復旧や物流確保を支援~」という通知を出しています。
ここにはレンタカーの記載はありませんが、早期復旧に向けた施策は講じられています。

※「特殊車両通行許可書」は、出先機関に出向くことなくオンライン申請もできるようになっています。
また、全日本トラック協会によると、19年4月から、特殊車両の通行許可証は電子機器での備え付けも可能になっています

このように、緊急時には関係省庁がさまざまな施策・対策を講じますが、民間企業が発災時に稼動できない事態をできる限り回避するためには、どのような施策が必要なのでしょうか。

 

3.物流業界のBCP策定に必要なこと

3−1.BCP策定にも役立つ「5W1H」

災害時には、通常とは違う対応が求められます。
「BCP(事業継続計画)」とは、企業が地震・台風・火災・テロの発生といった緊急時に業務を継続、または、できるだけ早く通常業務を行うため、事前に作成するものです。
企業活動を維持するためには重要な事業計画のひとつですが、防災対策に比べ、策定している企業が増加していないという話もあります。


出典:中小企業庁「BCP(事業継続計画)とは」

BCPの策定は、「防災対策」とともに大切な危機管理業務のひとつです。
例えば、中小企業の場合は、経営基盤が強固ではないこともあります。突発的な事態で経営が揺らぐことがないよう、また、緊急時でも最低限の業務を維持できるよう、平時のうちに発災から復旧までの工程を具体的に定め、準備をする必要があります。

BCPを策定するとはいっても、どこから手をつけてよいのか分からないこともあるかもしれません。そういうときには、ビジネスシーンでよく使われる「5W1H」(「誰が」「いつ」「どこで」「何を」「なぜ」「どのように」)が役立ちます。
まずは、おおまかなガイドラインづくりから始めてみてもよいかもしれません。

3−2.BCPの役割と策定に必要な要素

BCPを作成する場合、参考になる資料はあるのでしょうか。
中小企業庁が公開している資料を見ると、

  1. 優先して継続・復旧すべき中核事業を特定する
  2. 緊急時における中核事業の目標復旧時間を定めておく
  3. 緊急時に提供できるサービスのレベルについて顧客と予め協議しておく
  4. 事業拠点や生産設備、仕入品調達等の代替策を用意しておく
  5. 全ての従業員と事業継続についてコニュニケーションを図っておくこと

を挙げています。
一般社団法人日本物流団体連合会が公開している「自然災害時における物流業のBCP作成ガイドライン」 では、

  • 国や自治体が発表している「ハザードマップ」の確認
  • 防災対策
  • 食料などの備蓄
  • 複数の通信手段
  • データのバックアップ
  • 代替施設、拠点等の確保

についても、重要項目として詳細に説明されています。
物流業界は社会のインフラを担っています。何かあったときのために、今から少しずつでもルールづくりに取り組むことで、事業の停止といった事態を避ける手助けになるのではないでしょうか。

3−3.BCP(事業継続計画)作成のポイント

災害時のBCPのポイントは、
【対策】

  • 事前の防災対策
  • 発災直後の対策
  • 復旧のための施策

【リスクの切り分け】

  • 自社で対応できるリスク
  • 自社で対応できないリスク
  • 対策が不要なリスク

です。


出典:一般社団法人 日本物流団体連合会

これと同時に、社内・取引先の状況把握・確認・連絡も大切になります。
物流業界においては「稼働できる車両台数」「対応可能なドライバーの人数」を把握し、どの程度の稼働ができるかをスピーディーに把握することが必要になってきます。
計画を立てても、情報が入手できなければ素早い判断ができません。しかし、災害時には通信手段が限られてしまうことも想定されます。
情報ツールを多重化してリスクを分散しながら、その情報を一元的に収集できる環境づくりが欠かせません。

Cariotでは、GPSによる動態管理が可能です。Cariotモバイルアプリをダウンロードすることで、各ドライバーに電話をかけることなく、いつでもどこでも車両・ドライバーの状況が把握できますし、レンタカーを利用した場合でも、同様の管理と一元的な情報収集が可能です。

すでに弊社のシステムを導入し、緊急時に車両位置の把握にお役立てていただいている企業様の導入事例をご紹介します。ぜひご覧ください。
導入事例:「緊急時における車両位置把握の際の電話による連絡を不要にした導入事例」
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Cariotでは、3秒に1回、車両の現在位置を取得し地図上に可視化できる動態管理機能を提供しています。この機能をご活用いただくことで、ドライバーが危険な道路で立ち往生していないか、稼働できる車両はどこに何台あるのかといった確認をスムーズにできるようになります。

また、災害発生によって輸送遅延が発生した場合の効率的な車両の配送を行うための方法や事例を紹介したPDF資料もご用意しています。
ご興味のある方はぜひダウンロードしてご覧ください。
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これからもCariotは、より便利に使っていただくための機能の開発を進めてまいります。
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