業務のデジタル化は、DXのスタート

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業務効率化・コストメリット・使いやすさなど、リアルタイム動態管理システムを選定する際の基準はさまざまです。Cariotをお選びいただいたお客様の実業務に即したリアルな選定ポイント5つを解説いたします。

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こんにちは。Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。

物流全体の業務効率化推進のカギとして、政府によって「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)」や「業務のデジタル化・IT化」が推進されています。具体的に何を行えばよいのか、どのような効果が期待できるのかがわからない、と課題を感じている方も多いのではないでしょうか。デジタル化を進めることで、業務効率化・生産性向上以外に、事故の削減にも役立ちます。

今回は、事業用自動車の事故削減を目的とした「事業用自動車総合安全プラン」で示されている「ICTの活用」と、ポストコロナ時代を見据えた「物流DX」の具体的な取り組みについてお伝えします。

 

1.事故の削減を目指す「事業用自動車総合安全プラン」

1-1.「事業用自動車総合安全プラン」策定の目的と背景

「事業用自動車総合安全プラン」とは、事業用自動車の事故削減を目的に、2009年から取り組みが始まり現在も続いている施策です。現在、実施している「事業用自動車総合安全プラン2020」は、2017年に策定され2021年3月までの目標のもとで施行されています。

画像:国土交通省「事業用自動車総合安全プラン2020〜行政・事業者・利用者が連携した安全トライアングルの構築

現行のプランでは、政府が掲げた「第10次交通安全基本計画」に従い、年間の24時間死者数2,500人以下、死傷者数50万人以下の達成を目標に掲げ、事故による死者数の削減・飲酒運転ゼロの達成などを目指しています。それらを実現するための具体的施策として、ICT技術などにおける新技術の開発、業種ごとに特徴的な事故原因の分析と対応、道路交通環境の改善、高齢者事故の防止などと、その内容は多岐に渡ります。これらの達成のため、官民一体でソフト・ハードの両面から目標に向けた取り組みが行われています。

2009年の事業用自動車総合安全プランでは、策定した当初から、事業用自動車における「飲酒運転の撲滅」を目指し、施策・対策が講じられています。
その結果、貸し切りバスでは飲酒運転を起因とする事故はゼロとなり、目標を達成しました。一方で、トラックでは発生件数が増加傾向にあり、現行のプランで掲げた当初目標の達成が困難な見込みであることから、国土交通省は2021年度から開始される次期プラン「事業用自動車総合安全プラン2025」においても、飲酒運転ゼロの達成を引き続き目指すとしています。
この他、健康を起因とする事故等、安全管理が不十分であることが原因とされる事故をさらに削減するための取り組みの推進が予定されています。

画像:国土交通省「次期プランの策定に向けて重点的に検討すべきテーマ

1-2.次期「事業用自動車総合安全プラン」策定の重点施策概要

次期プランの策定に向け、国土交通省は2021年1月22日、2回目となる「事業用自動車に係る総合的安全対策検討委員会」を開催し、次期事業用自動車総合安全プランの原案について意見交換を行いました。これを元に最終案を検討し、2021年3月に開催する第3回会合に提出されることになります。

次期「事業用自動車総合安全プラン2025」の重点施策は、下記の図のとおりです。

画像:国土交通省「事業用自動車総合安全プラン2025(案) [計画期間:令和3~7年度] ~安全トライアングルの定着と新たな日常における安全確保~

「事業用自動車総合安全プラン2025」では、従来からの課題である事故発生件数の削減に向け、業種ごとに具体的な数値目標を設定し、企業・事業所の具体的な取り組みを推進します。
しかし、新型コロナウイルス感染症の収束目処が立たず先行きの見通しが立たない現在、今後も社会環境が変化していく可能性もあります。そのため国土交通省は随時「施策の進捗・目標の達成状況をできる限り定量的な指標を用いて確認し、必要な場合には新たな施策を検討すべきである」としています。

 

2.「新たな日常」における安全・安心な輸送サービスの実現

2-1.物流企業・事業所における安全管理体制の構築

いまだ収束の目処が見えない新型コロナウイルス感染症の拡大は、物流・流通にも大きな影響を与えています。
過去のCariotブログでもお伝えしましたが、コロナ禍において物流・流通に携わる企業・事業所は、従来からの課題として挙げている、人手不足の解消・働き方改革・頻発化・激甚化傾向にある自然災害への対応に加え、コロナ禍における変則的な荷量の増減への対応、非接触・非対面での業務遂行など、あらゆる課題を解決するための取り組みを行わなければなりません。

社会環境が目まぐるしく変化する中で、「事業用自動車総合安全プラン」の指針に沿いながら安全な輸送サービスを確立するための方法のひとつに「業務のデジタル化」があります。

国土交通省が「事業用自動車総合安全プラン2025」の策定に向け、検討委員会で示した資料によると、同プランで引き続き重点的に検討すべき「特に重要な項目」として下記の3点を挙げています。

  • 自動車運送事業における飲酒運転対策
  • ICT技術の活用による運行管理の高度化
  • 自動車運送事業における高齢者対策

このうち「ICT技術の活用による運行管理の高度化」の項目では、今後の展望として、始業前の点呼やアルコールチェック、終業時の点呼を自動化し、ドライバーに関する情報を共有・一元化できるシステムの導入について言及しています。

画像:国土交通省「次期プランの策定に向けて 重点的に検討すべきテーマ

この他にも、運行管理全体をデジタル管理に移行することのメリットとして、ドライバーの走行・速度履歴の自動取得、情報の一元化による的確な運行指示が可能になるなどが考えられます。ICT技術の活用は、物流・流通に携わる企業や事業所にとって生産性の向上に役立つでしょう。
デジタル化の取り組み例と、それによって得られる可能性があるメリットは、下記のとおりです。

■デジタル化の取り組み例

  • 配車・運行管理のシステム化
  • 動態管理システムによる、車両の状況把握
  • 倉庫管理システムによる、荷物の入出庫管理
  • 物流・商流・港湾関連業務のデータ基盤の構築による効率化
  • AIを活用した配送ルートの作成
  • IT点呼の導入
  • 画像や音声を活用したアルコールチェック、運行前点検の実施
  • 勤怠管理のシステム化
■得られる可能性があるメリット

  • 業務の属人化からの脱却
  • 自動データ取得による、人為的ミスの削減
  • 現状の把握による課題発見、ムリ・ムダの削減
  • 業務の生産性向上
  • 長時間労働の是正
  • 感染症の予防対策
  • 事故防止
  • コスト削減

このようにデジタル化を推進することで、輸送の安全確保と業務効率化・生産性向上を同時に実現に導く効果が期待できるといえます。

2-2.ICTを活用した「IT点呼」の実現に向けた取り組み

国土交通省は、次期プランの策定において「運行管理の質の向上による安全性の向上、労働生産性の向上を実現できる可能性があり、開発・普及促進を図るべきである」とし、「運行管理全体の高度化」を推進する予定です。

国土交通省の資料によると、事業用自動車の安全対策を実現するための方策のひとつとして「IT点呼」が挙げられています。

画像:国土交通省「次期プランの策定に向けて重点的に検討すべきテーマ

点呼は基本的に対面で行わなければなりませんが、2007年からは、一部の優良事業者に対してのみ「IT点呼」の実施が認められています。しかし、今後は「高度な機器を使用する」ことを要件に加えることで対象を拡大する方針です。

画像:国土交通省「次期プランの策定に向けて重点的に検討すべきテーマ

「IT点呼」の実施要件に加えられた項目は、下記の2点です。

  1. 点呼における運行管理者の判断を、より確度の高い機器によるものに代替できるよう、点呼項目ごとに機器に求める性能要件を検討する。
  2. 市場の点呼支援機器が、点呼項目のうち、どの項目の性能要件を満たしているかを明確に証するために、認定制度を策定する。

(引用:国土交通省「次期プランの策定に向けて 重点的に検討すべきテーマ」)

上記の件について、国土交通省は今後、同プランの指針に従い「IT点呼」に使用する機器やシステムの実証実験を行います。その後、機器の確実性が担保できることが確認でき、輸送の安全が十分に確保できる場合は対象を拡大し、実施期間を限定した上で特例として許可する方針です。

コロナ禍において非接触・非対面で業務を行うことが推奨されていることも「IT点呼」の実現を後押ししている側面もありますが、「事業用自動車総合安全プラン2025」の施行により規制が緩和されることで、これまで以上に多くの企業・事業所が「IT点呼」を実施できる可能性があります。

「IT点呼」が実施できるようになると、下記の効果が期待できます。

  • 非接触・非対面で点呼を実施することによる感染症の予防対策
  • 点呼の状況をデータや映像で記録できるため正確な情報の取得と記録が可能
  • 遠隔であっても点呼の実施状況が把握できる
  • 記録など人為的ミスの削減

国を挙げて「物流DX」が推進されていますが、点呼に限らず、業務をデジタル化・IT化することは、正確なデータを取得することにより業務全体を「見える化」することでもあります。
アナログからデジタルへと転換することは、利便性が向上することにとどまらず、業務全体を見える化することでボトルネックを発見し、より具体的な改善案の立案ができる体制が構築できることを意味します。
しかし、業務をデジタル化・IT化することはゴールではなくスタートです。企業・事業所においては、デジタル機器やシステムを活用し、事故の削減や安全管理の徹底、対策のために取得したデータを分析し、継続的な改善案の実施を行わなければなりません。

2-3.原因分析に基づく事故防止対策の立案と安全体質の強化

「事業用自動車総合安全プラン」において、民間企業・事業者には、安全管理体制の構築・継続的な改善を実施することで事故の削減を図ることが求められています。
物流・流通分野において事故を未然に防ぐために重要な項目として考えられることは、下記のとおりです。

  • 手待ち時間の削減
  • 運行ルートの急な変更の削減
  • 料金の過度な値下げの防止
  • 車両の整備・点検
  • ドライバーの健康管理や長時間労働の是正

など

事故を削減するためには、事業者だけでなく荷主側の協力も不可欠です。輸配送事業者が安全を確保し余裕のある運行ができるようなスケジュールを組んだ上で、事業者と情報共有ができる体制を作ることが理想的です。

民間の取り組みと並行して、国土交通省など行政機関では法令や各種ルールを定め、企業・事業所がそれらを遵守しているかどうかについて監査等で随時、確認することで事故を防ぐための措置を講じます。
具体的には、違反があった場合には監査を行い、是正や行政処分を科すことで悪質な事業者を排除し秩序を保つと同時に、「運輸安全マネジメント」制度を通じ、事業者の安全管理体制の構築と継続的な安全体質の強化への取り組みが挙げられます。

2021年度から開始される「事業用自動車総合安全プラン2025」では、下記の図にある通り、目標達成のために必要な「PDCAサイクル」を設定しています。
「PDCA」とは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を継続して繰り返すことで、業務内の課題を改善するための手法です。

画像:国土交通省「事業用自動車総合安全プラン2025(案)〜安全トライアングルの定着と新たな日常における安全確保

「PDCA」を適切に運用するためには、現場の状況を正確に把握し課題を「見える化」する必要があります。
しかし、稼働している車両の「今の状況」を正確に把握することは難しいものです。このような課題を解決し、業務を可視化するためには「動態管理システム」の導入がおすすめです。
管理をデジタル化することで、これまで見ることができなかった現場の業務を正確なデータとして捉えることができるため、取得したデータをもとに具体的な施策の立案ができ、実効性のある施策を講じることが可能です。
また、万が一、事故が起きた際にも、車両の現在地や状況、ドライバーの安全確認、事故対応のために必要とされる素早く正確な情報収集、事故原因の分析と対策をスピーディーに行うことができます。

このように、事故削減にとどまらず多くのメリットがある業務システムの導入を、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。

 

3.Cariotを活用した「物流DX」の取り組み事例

過去のCariotブログでもお伝えしましたが、物流施策の基本となる「次期物流総合施策大綱」においても「物流DX」によるサプライチェーン全体の最適化が明記されており、引き続き業務のデジタル化が推進されます。

業務をデジタル化する目的は企業・事業所ごとに異なりますが、主にコスト削減・利益率の向上・労働環境の改善などがあり、それらを達成するためには、 業務全体の効率化や生産性を向上させる必要があります。

しかし、業務をデジタル化するだけで課題が解決されるとは限りません。

目標を達成するためのポイントは、システムから取得したデータの分析、改善項目の抽出、施策の立案と実行、定期的かつ継続的なチェックと施策の実行、そして、それらを行う人員の確保と、場合によっては人材の育成が必要です。
上記の点を踏まえ、デジタル化を「目的」ではなく「スタート」として捉え、適切な運用ができる体制をつくることから「物流DX」は始まります。

Cariotでは、導入されたお客様の課題の解決に向け、カスタマーサポートチームがサポートを行いますので、初めてシステムを導入する企業・事業所の方でも安心してご利用いただけます。
また、Cariotではお客様の運用負担を軽減するための取り組みとして「サクセスパッケージ」をご用意しています。
インストール後に簡単な設定を行うだけで、お客様の課題に合わせたホーム画面・レポート・ダッシュボードが準備された状態でCariotをご利用いただけます。ぜひ、ご活用ください。

ここからは、モビリティ業務最適化クラウドCariotを導入し物流DXに取り組んでいる企業様の事例をご紹介します。

<株式会社ゼロ様の事例>
株式会社ゼロ様の主幹事業は、車両輸送事業です。
これまでアナログ管理で行なっていた輸送車両の動態管理をCariotでデジタル化し、車両の位置情報・輸送ステータスの把握によるフレキシブルな配車スケジュールの変更が可能となりました。現在はデータの分析と活用を進め、グループ全体の物流効率化と売上最大化を目指しています。

<UCCコーヒープロフェッショナル株式会社様の事例>
UCCコーヒープロフェッショナル株式会社様は、UCCグループの業務用サービス事業の中核を担い、永年培ってきたコーヒーに関する専門知識や技術、ノウハウなどを持つ業務用食品卸企業です。
本社、支店が連携して配送業務管理を刷新し、Cariotと既存の営業推進システムを連携させることによって、業務の“見える化”だけでなく業務負荷の軽減と効率化を目指しています。

また、Cariotでは随時、車両を使った業務の改善に役立つオンラインセミナーを開催しています。セミナー内での質疑応答も可能です。お気軽にご参加ください。


 
 
※本記事の情報、及び画像は、記事作成時点のものです。詳しくは最新の情報をご確認ください。

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