ドライバーの労働時間改善に向けた実態調査の開始〜「改善基準告示」のポイントは?〜

【チェックリスト付き】動態管理システムの選び方

「動態管理システム」の導入メリットをはじめ、自社の課題に最適なサービスの選び方やシステム選定のポイントについてご紹介しています。これからシステムの導入を検討されているご担当者様におすすめの資料です。

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こんにちは。Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。

かねてからドライバー不足が指摘されてきた物流業界では今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による宅配・配送数の急増でドライバーの負担が増したり、非接触・非対面での業務推進を求められたりするなど、未曾有の変化の只中にいます。
人手不足を解消するために、国からはさまざまな施策や支援策の推進がされ、各企業・事業所も対策を講じていますが、物流・輸配送業務に従事する労働力不足は増すばかりです。

今回は、ドライバーの労働時間改善に向けた新たな「改善基準告示」と、Cariotがお手伝いできることについてお伝えします。

【目次】
1.自動車運転者の労働時間改善に向けた実態調査とは?
2.自動車運転者の労働時間等を改善するための改善基準公告
 2-1.改善基準告示の内容
 2-2.実態調査の実施
3.ドライバーの労働環境改善のためにCariotが支援できること
 3-1.労働環境改善のために必要な業務のデジタル化
 3-2.労働環境改善に役立つCariotの機能

 

1.自動車運転者の労働時間改善に向けた実態調査とは?

過去のCariotブログでもお伝えしましたが、ドライバーは他業種と比較して労働時間が長く、早朝・深夜勤務や就業時間の不規則さなどの要因も加わり、健康面で問題を抱えるケースが見受けられます。

厚生労働省が発表した「平成30年版過労死等防止対策白書」によると、就業者の脳血管疾患・心疾患が多く、労災申請・認定者が多い職種の中に「運輸・機械運転従事者」が含まれています。
同白書内にある自動車運転従事者への重点調査では、自動車運転従事者で脳・心臓疾患にかかる人は年代別で50〜59歳が最も多く45.3%との結果がでています。疾患を引き起こす原因として「労働時間の長さ」が挙げられますが、下記の図のように、拘束時間が長いことや早朝勤務、日によって勤務時間が異なることなども、ドライバーの身体に負荷がかかる原因となっていることが見て取れます。


画像:厚生労働省「平成30年版過労死等防止対策白書

ドライバーの拘束時間が長引く原因として考えられることは、荷積み・荷下ろしなど付随業務や待機時間の多さがあります。
この問題を解決するためのひとつの施策として、2020年4月に「働き方改革関連法」の一環として時間外労働の上限規制が施行され、各企業・事業所ではドライバーの長時間労働是正に向けた取り組みが行われています。しかし、各社それぞれが従業員の労働時間短縮に向けた施策を行っていても、現在の物流・流通構造において荷主や顧客から取引上の都合でスケジュールが変更され対応が必要になったり、商慣行による制約がかかったりすることもあります。対策を円滑に進めるためには、サプライチェーン全体で業務効率化に取り組む必要があります。

前述の要因以外にも、自動車運転従事者は業務の特性上、まとまった休憩時間を取得しづらいことや、場合によっては次の業務までの間に休憩時間を取得できないまま連続勤務を行っているケースがあるなど、労働環境の改善には依然、課題が残されたままです。

このように、依然として業務負担が大きいドライバーの勤務状態・労働時間を改善し、休息時間を確保できるようにするための施策のひとつに、「改善基準公示」というものがあります。
改善基準公示とは、1989年に告示された「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(大臣告示)を指します。同公示で示されている「自動車運転者」は、トラックだけでなくタクシーやバス等のドライバーも含まれており、拘束時間の上限等が定められています。

この「改善基準告示」に関しては、2018年5月25日付で衆議院厚生労働委員会附帯決議が、同年6月28日付の参議院厚生労働委員会附帯決議により、2025年までの特例措置が適用されている間に改善基準告示の見直しと検討を進めるよう求められていました。
このような経緯がある中、厚生労働省は2020年10月5日、同公示の見直しに向け、労働時間改善に関する実態調査を実施する際の調査項目を公表、調査を開始しました。
厚生労働省は、自動車運転者の多様な勤務実態や業務上の特性を踏まえた上で新たな基準を定めるとしています。


画像:厚生労働省「トラック運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト

※「働き方改革関連法」については、過去のCariotブログをご覧ください。

 

2.自動車運転者の労働時間等の改善のための改善基準告示

2-1.改善基準告示の内容

前項でもお伝えしましたが「改善基準告示」は、自動車運転者の実態を考慮し、同業務の特性上、法律での規制が難しい拘束時間・休息時間・運転時間等の基準を定めたものです。
具体的には、拘束時間は13時間/1日を基本とし、延長する場合は16時間まで、休息期間は継続して8時間以上(一部の特例あり) と定めている他、勤務間インターバル制度の導入も必要とされています。
事業者は同公示に沿い、あらかじめドライバーの拘束時間の限度を定めることで、必然的にドライバーの休息時間を確保することができるようになります。


画像:厚生労働省「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント

2-2.実態調査の実施

「改善基準告示」の見直しに向けた実態調査が行われる期間は、2020年10月〜12月までとなっており、トラック分野のみ2021年度にも再度調査を実施する予定です。
これらの調査結果を踏まえ、厚生労働省は2021年3月から労働政策審議会(労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会)などで同告示の見直しに向けた議論を開始し、最終的に2022年12月の改正を目指すとしています。


画像:厚生労働省「改善基準告示の見直しについて

気になる調査項目の内容は、「事業者向け」、「ドライバー向け」に分かれています。
事業者には営業所の概要や業務時間が適正であるかどうかの他 、特例の利用状況 (休息期間分割・2人乗務・隔日勤務・フェリー乗船)についてなどの項目があります。ドライバーに対しては、走行距離やルート配送といった運行種別に関する質問の他、疲労度に関する項目や、収入と長時間労働の関係性などの項目があります。
記入方法は、大半が選択項目方式となっていますが一部、自由記述欄も設けられています。

※調査項目の詳細は、国土交通省のHPでご確認ください。


画像:厚生労働省「自動車運転者の労働時間等に係る実態調査の概要について

この他、事業者向けの調査内容には「働きやすい職場認証制度の申請の有無」についての設問があります。
「働きやすい職場認定制度」(正式名称:「運転者職場環境良好度認証制度」)とは、自動車運送事業者の働き方改革への取り組みを「見える化」し、働きやすい労働環境の実現と安定的な人材確保を図る目的で創設された制度です。
求職者側の立場から見ると、企業が同制度の承認を受けていることで、その企業・事業所が働きやすい職場かどうかを簡単に確認できるようになります。円滑な業務遂行とドライバー不足解消のため、同制度を活用してみてはいかがでしょうか。

<制度の概要>


画像:国土交通省「トラック、バス、タクシー分野の人材確保を後押し~『働きやすい職場認証制度』の創設~

※詳しくは、一般社団法人日本海事協会「働きやすい職場認定制度」のWebサイトでご確認ください。

 

3.ドライバーの労働環境改善のためにCariotが支援できること

3-1.労働環境改善のために必要な業務のデジタル化

これまで車両の「動態管理」を行う際は、手書き記入などのアナログ方式が主流でした。しかし、その手法では車両台数が増加する程に管理が困難になったり、煩雑で複雑な作業を行ったりする必要があり、業務が増え負担になる一方です。
このようなお悩みをお持ちの企業様には、ドライバーや管理者の業務負担を軽減しながら生産性向上が見込める「動態管理システム」の導入がおすすめです。

<動態管理システムで実現する業務の効率化ポイント>

  • 車両状況をリアルタイムで把握・共有する
  • 走行データを蓄積・分析する
  • 最適なルート設計を行う

<動態管理システムの主な導入メリット>

  • 業務内にあるムリ・ムダ・コストカットで生産性向上を実現できる
  • 正確なデータの取得で車両やドライバーの正確な稼働状況を把握できる
  • 配送指示の効率化ができる
  • 最適なルート設定ができる
  • 運転日報/月報の自動作成ができる

など

システム導入にあたり、業務環境の変化による混乱や、運用方法についての調整、端末操作に慣れるまで時間がかかるなど、一時的な負荷もあります。しかし、動態管理システムを導入することで日々、刻々と変化する配送現場の状況に対応しやすくなるだけでなく、把握しにくかった現場の動きを数値やデータとして「見える化」できることで、作業工数の大幅な削減や具体的な数値を元にした改善策の立案と実行ができるようになり、利益率向上も期待ができます。

※「動態管理システム」のメリット・デメリットについては、過去のCariotブログや、こちらの資料をご覧ください。

システム導入の際は、コスト面が気になることもあるかもしれません。現在は、国からの補助金などもありますので、この機会にそれらを活用しながら業務のデジタル化を進めてみてはいかがでしょうか。

3-2.労働環境改善に役立つCariotの機能

車両の”今”の状況をリアルタイムで正確に把握できるモビリティ業務最適化クラウドCariotでは、労働環境の改善や業務効率化・生産性向上に役立つさまざまな機能をご用意しています。
以下、Cariotの機能をいくつかご紹介します。

■エリアマップ

普段の業務内において配送先の変更や荷物の引き取りなどイレギュラーな対応が発生した際、ドライバーとの連絡に手間がかかることはないでしょうか?
Cariotの「エリアマップ」機能では、リアルタイムで更新される車両の位置情報から「車両が”今、どこにいるか”」が地図上でわかるため、ドライバーと電話のやりとりをせず、車両の現在地や車両の到着予測時間を確認することができます。また、該当エリア内に滞在する車両の割り出しもでき、モニターを見ながら荷主からの依頼に沿った変更指示が可能です。

■DriveCast

「DriveCast」は、PCやスマートフォン・タブレットを利用して、社外の関係者と車両の位置情報が共有できる機能です。車両ごとにURLとパスワードを設定し関係者間で共有することで、配送先・取引先などの関係者間で車両の位置情報を共有できます。これにより、荷主から「今どのあたりを走っている?」と電話を受け、対応する手間がなくなります。

■遅延検知
Cariotの「配送計画」機能に取り込んだ到着予定時間と、走行中の車両の到着予測時刻を比較して遅延を検知し、遅延がある場合はメールで通知します。メールの通知先は複数の登録が可能です。

遅延検知メールの例

「配送計画」機能の画面例

Cariotではこの他にも、ルート最適化機能配送計画作成機能車両の予約管理/運行予実管理訪問自動記録など、さまざまな機能をご用意しています。

※詳しくは、Cariotの機能紹介ページをご覧ください。

コロナ禍における物流業界は、従来からある課題の解消に加え、サプライチェーン全体を挙げた業務効率化・生産性向上が求められており、複数の課題に対しどのような対応をするか悩みは尽きません。
このような状況ではありますが、例年であればこれから年末年始の繁忙期を迎え、ますますイレギュラーな業務対応が増加することが予想されます。
業務内のムリ・ムダを省きながらドライバーの労働環境改善にも役立つCariotの導入を、ぜひご検討ください。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Cariotは、お客様からのご意見・ご要望を取り入れながら、より便利にお使いいただくための機能の開発を進めてまいります。
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