今の時代にドライバーを集める採用手法
こんにちは。Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。
今回より、船井総合研究所 物流・交通グループ シニア経営コンサルタントの河内谷 庸高(かわちや のぶたか)氏が「専門家ライター」として執筆してくださることになりました。
今回は、労働力人口減少の影響を受け、人材争奪戦が激化している「ドライバーの採用手法」についての記事です。
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国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、日本の人口は2008年の約1億2800万人をピークに減少を続け、2030年には約1億1600万人になると予想されています。労働力人口減少の影響もあり、業界を問わず人材争奪戦は激化しています。
運送業界で見ても、2013年ごろからドライバー不足が叫ばれていますが、少なくとも2020年まではこの傾向が続くと言われています。有効求人倍率(有効求人数÷有効求職者数)も、全業種の平均が1.28に対し、ドライバー職は2.38(2016年9月時点)と高い値で推移しています。
今や、とりあえずお金をかけて求人広告を出せば人が集まるという時代ではありません。どのようなターゲットに対して、どの媒体を活用して、どうアプローチして応募してきてもらうのか、という明確な戦略とマーケティング発想を持って求人活動をしなくてはいけません。
■押さえておくべき求職者の変化
①仕事に対する価値観の変化
ここ数年で、仕事に対する価値観が大きく変化してきています。以前までは、ドライバー職で言うと、「走ったら走った分だけ稼ぎたい」、「仕事はきつくても、その分しっかり給与をもらいたい」という人が多かったかと思いますが、今はそうではありません。「仕事も給与もそこそこでいいので、休みを取りたい」、「プライベートな時間を充実させたい」という人が増えてきています。お金よりも、その会社で働く意義や意味、目的を重視する傾向にあります。
②安定・安全・安心を求める若者
最近の若者の傾向は「安定」を求める人が増えてきています。「安定して長く働ける」、「仕事量が安定しており、給与も安定している」というようなニーズです。
さらに、安全・安心な職場環境づくりに力を入れている企業でないと、人が集まらなくなってきています。特に未経験者の場合「安全教育に力を入れているようだったのでので、安心して応募しました。」というような話をよく耳にします。
③親族の影響力が増大
転職検討時における親族(親・配偶者)の影響力が年々増大してきているといわれています。夫や妻、両親の理解を得られず、親族のブロックによる入社辞退するというケースが増えてきています。今までは、求職者本人に対してのアプローチでしたが、これからは求職者の家族も含め、どう自社を選んでもらうのかということを意識しなければなりません。
④情報収集方法の変化
今の時代、求職者の9割以上が応募前後に、その会社のホームページを検索しているといわれています。その率はスマホの普及とともに年々上昇しており、求職者の中には、ホームページを持っていない会社は、応募対象から外すという人もいるぐらいです。
■自社ホームページで応募者数を激増させる
前述のとおり、求職者の情報収集方法はネット検索に変わってきており、企業ホームページを必ずチェックしています。だからといって、単にホームページがあればいい、というわけではありません。総合求人情報サービスを行うディップ株式会社が発表したレポートによると、ホームページを閲覧した求職者のうち48.8%が満足する情報を得られなかったと回答しているのです。その不満点として「実際の職場環境がイメージできなかった」、「企業のイメージが具体的に確認できなかった」、「募集要項等の情報しか得られなかった」という理由が挙げられています。
つまり、ホームページがただあるだけでは意味がなく、求職者が応募したくなるような内容を伝えないといけません。求職者から反響のあるホームページのポイントを7個にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
①社内の様子・社風を感じさせる写真・動画がとにかく多い
テキストだけの情報だと、どのような雰囲気の会社なのか、社風やイメージまでは伝わりません。文章で長々と書くよりも、写真で示した方が伝わりますし説得力があります。フリー素材の写真やトラックの写真だけでは意味がなく、そこで働いている人の写真を前面に出すのが効果的です。
②仕事内容や1日の流れ、雇用条件などがわかりやすい
荷物の種類、荷姿、配送件数、走行距離、作業内容など、具体的な仕事内容や1日の流れ、雇用条件を詳細に掲載することで、イメージがわきやすくなり、応募のハードルが下がります。また、入社前後のミスマッチを防ぐこともできます。
③求職者にとってのメリットが整理されている
他社とは違い、自社の良いところや自社で働くメリットは何なのかを整理してアピールしてください。実際に働いているドライバーにインタビューし、その声からピックアップして掲載するとよいでしょう。
④未経験者への訴求ポイントが描かれており、成長ステップがイメージできる
未経験者採用に力を入れているのであれば、ドライバー職は初めてという方向けのページを設け、新入社員教育内容や成長のステップを掲載するとよいでしょう。
また、「1日体験乗務制度があること」や「免許取得支援制度があること」、「AT仕様のトラックがあること」など、未経験の方でも働きやすい環境・制度を整えていることがあれば、あわせてアピールしてください。
⑤安全・事故防止のための取り組み・設備投資が訴求されている
車両設備への投資(危険運転検知システム、バックモニター、ドラレコ、デジタコ、衝突防止システムなど)や安全教育内容、車両整備など事故防止のための取り組んでいることがあれば、ぜひ掲載してください。
⑥親族ブロック対策(安全・福利厚生等の安心訴求)ができている
親族ブロックを回避するためには、安全運行や健康管理、コンプライアンスの徹底、福利厚生など、家族が不安に思うであろうこと掲載し、予め払拭しておく必要があります。
⑦営業所別・車種別・職種別に募集要項が細分化されている
募集要項は細かく分ければ分けるほど、応募率は高まります。たとえば、「2t・4t・大型トラックドライバー」と、一括りで出すよりも、それぞれの車種別に分けて出す方が反応は良くなります。さらに、同じ4tドライバーでも、センター間輸送もあれば店舗配送もあり、近距離もあれば長距離もあると思いますので、職種でもできるだけ細分化するようにしてください。