特殊車両申請の簡素化で国が車両をモニタリング!悪質な違反は事業者も告発へ

2019.11.26管理者必読の法律情報 , 車両管理ニュース , Cariot機能紹介
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こんにちは、Cariot(キャリオット)編集部です。

円滑な物流を維持することは経済・社会活動にとって、とても大切なことです。
ドライバー不足で物流の維持が難しくなる可能性が指摘されている中、国土交通省は、車両の構造・貨物が特殊な車両が道路を通行する際の許可証発行手続き・申請方法の改善などの対策に乗り出しました。
今回は「特殊車両申請の簡素化」についてまとめました。

【目次】
1.申請しないと走行できない「特殊車両通行許可証」とは
  1-1.「特殊車両」の走行時は規制だらけ
  1-2.窓口は?許可が下りるまでの期間はどのくらい?
  1-3.「特殊車両申請」は、これまでどのように運用されてきたのか

2.なぜ「手続きの簡素化」が必要なのか?その背景にある問題
  2-1.ドライバー不足で増加する申請件数
  2-2.特殊車両申請のデジタル化によるメリット
  2-3.「制度」の追加で利便性は向上する⁈

3.新制度によって起こる変化
  3-1.国が「走行履歴」と「重量計測」をモニタリング!
  3-2.取り締まり強化!「過積載」も要注意
  3-3.悪質な違反を発見!運転者だけでなく事業者も告発⁈

4.いいことばかりではない?デジタル化の問題点と改善策
  4-1.システムに不具合…運用面の改善が必要
  4-2.なぜ40フィート限定?「海上コンテナ」取り扱いの不思議

1.申請しないと走行できない「特殊車両通行許可証」とは

1-1.「特殊車両」の走行時は規制だらけ

「特殊車両」と呼ばれる一定の大きさ・重さを超える車両が道路を通行するときには、道路にダメージを与えたり事故の原因にならないよう、道路法第47条の2第6項に基づき、事前に道路管理者に「通行許可申請」を行う必要があります。

特殊車両を運行するためには、下記のいずれかの申請許可を受ける必要があります。

・新規申請:新たに特殊車両通行させるときの申請
・更新申請:すでに許可されている申請書を延長するための申請
・変更申請:許可をされている申請内容に変更があるときに行う申請

車両の重さ、長さ・高さ・幅の制限については、国土交通省の「特殊車両通行許可制度について」に詳細が記載されていますので、申請前に確認してみてください。

また、許可を受けて車両を通行するときには、守らなければならない項目があります。


画像:国土交通省:「改定_特殊車両通行ハンドブック2019

1-2.窓口は?許可が下りるまでの期間はどのくらい?

これまで「特殊車両許可申請」は、関東地方整備局と各国道事務所が提出窓口でしたが、2019年10月7日からは手続き窓口を同整備局に一本化しました。
すべての申請を受け取った同整備局が、各国道事務所に振り分ける仕組みに変更され、運用が始まっています。また、「特殊車両通行許可オンライン申請」を利用し、窓口に出向かなくても申請できるようになりました。

参考資料:関東地方整備局における提出先窓口の統一について

国交省の発表によると、「入口重視の事前審査」を行なっている現在の平均審査日数は約1カ月。今回の変更で、デジタル化と手続きの簡素化・一元化をさらに進め、20年までに約10日に短縮するロードマップを掲げています。
審査日数の大幅な短縮を実現するために、デジタル化・国による手続き一元化の仕組みづくりを急いでいます。

1-3.「特殊車両申請」は、これまでどのように運用されてきたのか

同省は19年4月1日、優良事業者に対してETC2.0を搭載しているなど一定の条件を満たしている場合、最大2年だった申請許可書の有効期限を最大4年に延長するなどの措置を講じてきました。


国土交通省:「第20回物流小委員会」

さらに手続きを迅速に行うために、18年度時点で73%の地方道の電子データ化を推進する予定です。
それらを実現するため、年間申請件数5件以上の場合は、センシング技術を導入し、電子化が遅れている地方道の情報収集の効率化・車載型線審議技術を活用した電子データの整備を19年度末までに整備する計画です。
手数料については、これまでは許可の際に支払っていた手数料を今後、登録時に支払うことを検討しています。

システムのデジタル化が完了した後、21年度中には新制度を導入し、登録車両には通行可能な経路が一括で表示できるようになります。また、橋梁や車両構造に関する情報処理の精度が上がるため、これまでより迅速できめ細やかな審査が可能になるということです。
今後は、新たな申請・審査システムの導入を見据え、新しい制度を創設するため、道路法の改正案を20年度の通常国会に提出する可能性もあります。

2.なぜ「手続きの簡素化」が必要なのか?その背景にある問題

2-1.ドライバー不足で増加する申請件数

制度運用の効率化・デジタル化を推し進める背景には、物流業界が抱える「人手不足」と、それに伴う「審査日数の長期化」がありました。
19年10月29日、同省で行われた「社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会第20回物流小委員会」で示された資料には、申請手続きの簡素化を目指す理由が示されていました。

・ドラバー不足で車両の大型化が進み、審査件数が増加。
・14年~18年の4年間で、申請件数は約28万件から約45万件と1.6倍に増加
・補助道路、都道府県道、市町村道を含むルートは一括審査ができないため、審査期間は平均35・7日
・国の一括審査ができる場合は、平均8・5日、全体の平均は28・5日


国土交通省:「第20回物流小委員会」

同作業部会資料によると、現在、特殊車両運行許可が下りるまでの期間は約1カ月かかっています。ドライバーが不足しているため、1回でより多くの物を運びたいというニーズが高まっているものの、審査期間の長期化が足かせになっている現状が浮かび上がってきます。

この状況を改善するために、同省は、

・「事前審査重視」から、ICTによる「走行確認重視」へ枠組みの転換を図る
・審査日数を短縮するため、ETCやOBW(車載型荷システム)の環境整備を始める
・業務を下支えするため、一部をアウトソーシングすることを検討

という内容を示しています。
新制度の運用が定着し、短期間で許可が下りれば、これまでより機動的な車両の運用が実現しそうです。

2-2.特殊車両申請のデジタル化によるメリット

デジタル化されることで、申請のたびに出先機関に出向く必要はなくなります。さらに、これまでアナログで管理・携行していた許可書などの書類をタブレット等の電子機器で持ち歩くことができるようになり、利便性が向上しました。

オンラインで車両登録・特殊車両通行許可申請をする際は、業務支援用ETC2.0の搭載・積載可能重量・重量の把握方法を入力することで、即日登録となり、あらかじめ指定された区間を許可がなくても走行が可能になります。寸法や重量が大きなものについては、従来通りの申請が必要です。


国土交通省:「中小トラック運送業のためのITツール活用ガイドブック

また、大型車誘導区間を走行する際、走行ルートを選択できる「特車ゴールド」という制度もあります。
この制度を利用した場合、事故や渋滞・災害時などに他の通行可能な道路への迂回が可能です。
物流の滞りを解消し、業務効率化を後押しする仕組みになっています。

2-3.「制度」の追加で利便性は向上する⁈

「社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会第20回物流小委員会」の資料に、「重要物流道路における特殊車両通行許可証不要区間の指定等について」というものがあります。今年10月に改定された「特殊車両通行ハンドブック」にも同様の記載がありますが、下記の3点が、制度関連の「これまでの取り組み」として挙げられています。

「特車ゴールド制度」
16年1月25日から開始し、19年3月に一部が改定されました。同制度に適合する車種で、業務用ETC2.0車載器を載せた車両の利用登録後、特殊車両通行許可証をオンライン申請する必要があります。ワンクリックで更新申請が可能になる他、大型車誘導区間の経路選択が可能になります。詳しくは国交省の資料をご覧ください。

「重要物流道路」
国道交通大臣が「重要物流道路」に指定した路線の機能強化・重点支援を実施する区間。代替補完路と併せて災害時の復旧・道路啓開を国が代行できる道路のことです。

「国際海上コンテナ(40フィート背高)特殊車両通行許可不要区間」
道路管理者が運行を認めた区間では、要件を満たす国際海上コンテナ車(40フィート)の通行許可を不要とする制度が、2019年7月31日から開始されました。証明書類の携行、ETC2.0車載器の搭載が要件で、オンライン申請サイトから登録した車両に通行が許可されます。


国土交通省:「改定_特殊車両通行ハンドブック2019

この「国際海上コンテナ車」については、許可基準を巡って疑問の声も上がっています。

3.新制度によって起こる変化

3-1.国が「走行履歴」と「重量計測」をモニタリング!

特殊車両許可申請では、「受付窓口の一元化」と「データ化」によってシステム処理能力が向上し、これまでより短い日数で通行許可がおりることになります。
また、ICTの導入で、通行可能な道路を一括して表示できるようになります。過去のデータベースを調べることで、橋梁の構造、車両構造などを考慮した審査も可能になり、事前登録した車両は、その重量などによって許可を受けなくてもあらかじめ指定された道路の走行が可能です。また、提示された経路を自由に選択することもできるようになります。


国土交通省:「第20回物流小委員会」資料

これまでのように、許可までの待機日数が短縮されるというメリットはありますが、便利なだけではなく、注意しなければいけない点もあります。
まず、国が一元管理を行うために、国がETC2.0を活用し、登録車両の走行履歴のモニタリングと同時に、新たな通行(重量)管理のために、OBW(車載型重量計)などで重量計測・記録します。計測に関しては、対応できる機器の開発や普及が遅れていることから、今の段階では重量計などを用いて記録したものを、荷主からの依頼書などで確認します。

3-2.取り締まり強化!「過積載」も要注意

デジタル化によって利便性が向上し、運行を含めた効率的な業務が行えるようになりますが、ICTを利用した「違反者に対する現地取り締まり」は、これまで以上に厳しくなることが予想されます。

問題となっているトラックの「過積載」についても、国・高速道路会社・地方公共団体間でWIM(自動計測装置)での測定や情報や履歴が共有できるようになります。これらを利用して、事故抑止を強化する方針です。違反に対して警告書発出までの累積違反回数の引き下げ、さらに違反者公表基準も引き下げるとしています。アメとムチを使い分けるかのように、規制の緩和・利便性向上と、これまで以上に厳しい取り締まりといった罰則強化が同時に行われることになります。


国土交通省:「第20回物流小委員会」資料

3-3.悪質な違反を発見!運転者だけでなく事業者も告発⁈

デジタル化によって、手続きが簡素化されるだけでなく、登録車のさまざまなデータの収集・閲覧が容易になり、物流の安定・安全性の確保に役立つ仕組みが作られます。それと同時に、より摘発しやすい環境も生まれます。違反が「悪質」と判断された場合には、多額の罰金を科されることもあります。


国土交通省:「改定_特殊車両通行ハンドブック2019

全日本トラック協会が公表した「高速道路会社6社と国の特殊車両通行許可システムの接続による許可情報の共有について」によると、各高速道路会社は19年4月1日から、同社職員がタブレットで国のシステムにアクセスすることが可能になり、自動軸重計による取り締まりを行うこと・通行許可の内容をタブレットで確認するといった変更点について告知・周知しました。
通行許可を受けていても許可証を携行していない場合は「許可証不携帯」となってしまいます。ドライバーは、通行許可書を必ず携行するよう、運転前点検の際に確認してから業務を行うようにしたいものです。

また今後、増加するかもしれない摘発の一例として、今年9月、車両制限令で定められた25トンを大きく超過した車両総重量で運行し、摘発された件をご紹介します。

道路法第47条第2項違反者(重量超過車両)の告発について(西日本高速道路会社)

Cariotでは、ドライバーが適正なルートを走行しているかを感知し、ルートを外れたときにアラートで知らせます。その他にも、走行履歴・出発・到着時刻、停車時間も自動で記録、ドライブレコーダーの記録もできますので、業務効率化の実現とともに、問題点の抽出と分析がしやすくなります。

詳しくは、「導入メリット」をご覧ください。

4.いいことばかりではない?デジタル化の問題点と改善策

4-1.システムに不具合…運用面の改善が必要

国交省が示した新たな「特殊車両申請」手続きは、スキーム通りであれば、これまでのような時間はかからないはずです。しかし、運用が始まってすぐの段階で、すでにいくつかの問題が発生しているようです。
11月4日付の「物流ウィークリー」によると、システムに不具合があり、業務の遅延が発生していることです。
本来であれば申請は自動的に振り分けられますが、一部で振り分けが遅くなったケースが発生し、同省は抜本的な問題点を洗い出しているとしています。
また、システム上、申請された案件は自動的に次の段階に移行されるはずですが、届いていない申請がないかどうかを人力でチェックしている状況があります。同整備局は「申請は翌営業日までには振り分けている」と話していますが、システムの不具合が解消されないままだと不安が残りますし、時間がかかってなかなか許可が下りない事態も想定されます。
また、どの事務所に振り分けられるかは、そのときにならないと分からないこと・案件によって許可までの日数のばらつきが大きいことへの不安の声も上がっているということです。

4-2.なぜ40フィート限定?「海上コンテナ」取り扱いの不思議

19年7月31日から「国際海上コンテナ(40フィート背高)」に対し、申請通行許可不要区間が導入されました。これにより、指定された区間を通行する際、特殊車両通行許可書が不要になります。

同省は、2018年3月に「重要物流道路制度」が創設されたことで、コンテナ車(セミトレーラー連結車)が、特別の許可なく道路を通行することができる環境が整いつつあると説明していますが、この制度の立て付けだと、

「40フィートのコンテナは許可が不要」
「40フィート以下のコンテナには許可が必要」

となり、この切り分けはおかしいのでは?という声が上がっています。


国土交通省道路局:「重要物流道路における特殊車両通行許可不要区間の指定等について

物流ウィークリー(11月4日付)に、この問題に対する記事が掲載されています。
それによると、同省担当者は「(同制度は)40フィート背高に限ってつくられた制度。政策的に『まず』というところがある。他の車種についても業界から声を聞き、考えていきたい」「当然、重要物流道路以外の区間を走行する場合には許可が必要」とコメントしています。
これから順次、適用範囲を拡大していくことを視野に入れながら、まずは「40フィート」に限定して運用していくということのようです。

新制度への完全移行までまだ少し時間があります。
システムの運用がスムーズに進み、事業者とドライバーの負担が軽くなり、物流の安定性が確保できる仕組み作りが望まれます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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