デジタコとは?トラックに搭載されるタコグラフの基礎や設置の義務化について紹介

【チェックリスト付き】動態管理システムの選び方

「動態管理システム」の導入メリットをはじめ、自社の課題に最適なサービスの選び方やシステム選定のポイントについてご紹介しています。これからシステムの導入を検討されているご担当者様におすすめの資料です。

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※当記事は2023年08月15日に改訂されています。

こんにちは。Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。

2017年よりトラックなどの事業用自動車については対象車両への設置が義務付けられた「タコグラフ(運行記録計)」は、導入コストや活用方法など、必要な機能とあわせて機種の選定が必要です。
今回はデジタコ・アナタコの特性から、メリットとデメリットについて、そして併用することで効果を発揮する動態管理システムについてお伝えします。

 

1.デジタコとは?タコグラフの基礎について紹介

タコグラフ(Tachograph)は1950年代にドイツで生まれた「運行記録用計器」です。回転速度計(Tachometer)と記録(Graphink)を合わせたものが名称の由来とされています。その機能は、速度、時間、距離のいわゆる「法定三原則」を記録することです。ドライバーの安全運転や労働状況などを確認する機器として、重要な役目を担っているのです。

タコグラフは技術の進歩に伴い、かつてのアナログ式に代わりデジタル式が急速に普及しています。アナログ式のタコグラフは「アナタコ」、デジタル式のタコグラフは「デジタコ」と呼ばれています。

アナタコとは、チャート紙を機器にセットし、自動車を運転する際の各情報を針で記録していくタコグラフのことです。

一方、デジタコとは運転時の各情報をデジタル形式で記録するタコグラフを意味します。デジタコでは「法定三原則」の情報はもちろん、その他多くの情報を取得・記録できます。

なお、タコグラフは「貨物自動車運送事業輸送安全規則(国土交通省)」によって、設置が義務付けられています。日本では1960年代から、路線トラック、長距離路線バスなどへの設置が義務化されました。最近では、事業用トラックや法人タクシーなどに設置対象は拡大されています。

ここからは、アナタコとデジタコの違いをはじめ、タコグラフの設置義務の詳細などについても詳しくご紹介します。  

1-1.デジタコとアナタコの違い

デジタコとアナタコには、以下の表のような違いがあります。

比較項目 ​デジタコ ​​アナタコ
記録できる情報 速度
時間
距離
GPSによる位置情報
エンジン回転数
空車での走行区間
急加速・急減速
ドアの開閉
アイドリング情報
速度
時間
距離
導入に関する価格・コスト 5万円〜30万円 初期費用に数万円(チャート紙は1枚10円程度)
ドライバーの使いやすさ ・専門知識は不要で、表示情報を入力すれば使える
・運転日報・報告書等の作成が簡単
・テータを読むためにはチャート紙を読解する専門知識が必要
改ざん・偽造に対する信頼性 不可 デジタコと比較し容易

デジタコは、使いやすさ、記録情報の信頼性が大きなメリットです。さらに高機能なデジタコの場合、安全運行のサポートや業務の効率化も期待できます。一方、導入コストをみてみると、デジタコは高価となります。高機能なデジタコほど価格が高くなるため、必要な機能とコストのバランスを考えて機種を選びましょう。
デジタコを導入する際は、国土交通省や厚生労働省、経済産業省の助成金・補助金制度を利用できるケースがあり、活用することをおすすめします。

1-2.タコグラフの設置義務

タコグラフの設置義務のある車両は以下のとおりです。

タコグラフの設置が義務付けられている車両

  • トラックなどの事業用自動車(総重量7トン以上、または最大積載量4トン以上)
  • 大都市部の法人タクシー・ハイヤー(個人タクシーを除く)
  • 貸切バス(100km以上の路線)
  • 路線バス

参考:貨物自動車運送事業輸送安全規則
貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部を改正する省令について
旅客自動車運送事業運輸規則

上の表を見ると、運送業に使用する営業ナンバー(緑ナンバー)の車両は、タコグラフの設置が義務付けられていることが分かります。

なお、トラックなどの事業用自動車については、2017年3月31日までに「新車・現在使用中に関わらず全ての対象車両に装着しなければならない」と定められました。

以前は「総重量8トン以上、または最大積載量5トン以上の普通自動車」に、タコグラフの設置が義務付けられていました。しかし2014年12月の「貨物自動車運送事業輸送安全規則」の一部改正に伴い、タコグラフの装着義務付け対象が拡大され、現在は「総重量7トン以上、または最大積載量4トン以上の普通自動車である事業用自動車(トラックなど)」にまで設置が義務化されています。

なお、設置義務を怠ると、以下のような反則金が課されることや行政処分の対象となる恐れがあります。

・運行記録計不備
チャート紙やSDカードの未装填、デジタコの故障、時計が狂っていたなどのケースが該当します。道路交通法第63条の2や道路運送車両の保安基準第48条の2の違反となり、交通違反(一般違反行為)による反則金が課せられます。ただし、行政処分の対象ではありません。

・記録義務違反
タコグラフそのものが未装着のケースが該当します。車両の使用停止といった行政処分の対象となる恐れがあります。

・記録の改ざん/不実記録
タコグラフの記録情報の改ざんが該当します。車両の使用停止や営業停止など重い行政処分の対象となる恐れがあります。

このようにタコグラフの設置義務を怠ったり、適切に使用しなかったりすると、企業に処分が下ります。指定車両には必ず、アナタコ・デジタコ、いずれかのタコグラフを設置しましょう。

 

2.デジタコの種類

デジタコは機能に応じて、以下の3種類に分けられます。

  • 標準タイプ
  • 単機能タイプ
  • 多機能タイプ

それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、以下の表で詳細を確認しましょう。

種類 ​特徴 ​​メリット ​​デメリット
標準タイプ 速度、時速、距離のいわゆる「法定三原則」のほか、帳簿出力やドライブレコーダーとの連携などの機能がある。 ・ドライブレコーダーとの連携で、トラブル時の記録を残すことが可能。
・機能と価格のバランスが取れている。
・求める機能が充分に備わっていない場合、買い替えが必要になる場合もある。
単機能タイプ 最もシンプルな機能を有したデジタコ。基本的に「法定三原則」の情報を取得。 ・他のタイプと比較して導入コストが低い。
・機能がシンプルなので操作しやすい。
・求める機能が充分に備わっていない場合、買い替えが必要になる場合もある。
多機能タイプ 「法定三原則」の情報取得の他、帳簿出力や燃費管理、アルコールチェック、アラーム通知など機能が多数。デジカメやドライブレコーダーが搭載されたモデルもある。 ・搭載されている多数の便利な機能により、業務の効率化や業務負担の軽減が期待できる。 ・機種によっては1台20〜30万円ほどかかり、導入コストが高額である。

それぞれのタイプで搭載機能に差があります。機能が充実し、高性能なタイプほど価格が上昇する傾向となります。

 

3.デジタコを導入するときのポイント


デジタコの導入する際には、以下の2つが重要となるので、確認しておきましょう。

①必要な用途の想定
「法定三原則」(速度、時間、距離)の情報の記録は、どのデジタコにも共通する機能です。デジタコを導入する際には「他にどのような機能が必要か」を検討する必要があります。検討にあたり「デジタコをどのように活用したいか」を想定しましょう。
「GPSでリアルタイムの位置情報が知りたい」、「運行管理にも活用したい」、「業務の効率化に役立てたい」など、自社の課題とも照らし合わせて、活用方法を明確にするとよいでしょう。ほとんど活用しない場合に多機能タイプを選んでも、導入コストが高くなるだけで、あまり意味はありません。

②予算や機能のチェック
デジタコの機種を比較します。デジタコの価格と機能は基本的に比例しており、高機能・多機能なデジタコほど導入コストが高くなります。予算の範囲内で、可能な限り想定した用途をカバーできるデジタコを選びましょう。

なお、必要な機能を盛り込むと予算をオーバーすることが多々あります。そのような場合には、デジタコと動態管理システムを併用することで解決する場合があります。
動態管理システムが、GPSによるリアルタイムの位置情報取得や運行管理、業務効率化などを担うため、デジタコは最低限の機能で問題ありません。動態管理システムは取り付けが簡単で、リーズナブルなサービスも多いため、多機能デジタコの導入と同等の効果を実現することが期待できます。

 

4.デジタコのメリット・デメリット


車両に設置するタコグラフは、アナタコ、デジタコのどちらでも問題はありませんが、導入の際には、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で選ぶことが重要です。
改めて、デジタコのメリット・デメリットをもとに、アナタコとの違いも比較しながらチェックしましょう。

デジタコのメリット

専門知識がなくても使用できる
情報の読み取りや解析に専門知識が必要なアナタコに対して、デジタコは専門知識がなくても利用できます。そのため、専門知識を持った人材も不要で、すぐに業務管理に役立てることができます。

より多くの情報が記録できる
アナタコが「法定三原則」(速度、時間、距離)のみを記録するのに対して、デジタコはGPS による現在位置情報やエンジン回転数、急加速・減速、ドアの開閉など、より多くの情報を記録することが可能です。

情報の転送が容易
デジタコはメモリーカードに記録されるため、パソコンへの情報の転送が容易です。一方、アナタコは記録したデータを目視で読み取り、パソコンへ手入力しなければならず、業務負担が増えます。

デジタコのデメリット

高性能のデジタコは導入費用が高額
高性能・多機能なデジタコや通信タイプのデジタコは、単機能タイプのデジタコやアナタコと比較して、導入費用が高額になる傾向があります。導入費用に数倍の差が生じるケースもあり、トラックの保有台数が多い企業が高性能・多機能なデジタコを導入することで、コストが非常に高くなります。実際に、高性能・多機能なデジタコの良さは理解しつつも「コストの問題から導入に踏み切れない」という声も少なくありません。

データの取り出しがしづらい
デジタコはパソコンへの情報転送は容易ですが、データの抽出・分析に特化しているわけではありません。データを取り出しづらく分析が難しいと、蓄積したデータを十分に活用できない恐れがあります。

データの破損リスクがある
タコグラフで記録された情報には、一定期間の保存義務が課せられています。デジタコの情報を記録したパソコンやハードディスクの不具合などでデータが破損した場合、データの保存義務違反となります。企業のコンプライアンス問題に発展する恐れもあるため、クラウドの導入など、データ保存には細心の注意を払わなければなりません。

 

5.デジタコと併用して動態管理システムの活用がおすすめ


タコグラフの設置義務、デジタコの機能、メリットやデメリットをお伝えしてきましたが「動態管理システム」との併用によって、より効果的にデジタコを利用することが可能です。

「動態管理システム」とは、GPSを利用した車両管理システムを指します。動態管理システムは、走行ルートの管理や車両管理、労務管理、さらに蓄積したデータの分析・解析を通じた問題の可視化(見える化)などを実現します。

現在、数多くの動態管理システムが提供されていますが、特にデジタコとの併用に強みがあるのは「車両動態管理クラウドCariot(キャリオット)」です。その特長は以下の通りです。

デジタコの導入コストを抑えつつ、高機能を享受できる
Cariotの仕組みはシンプルで、車載デバイスまたはスマホアプリを用いて、クルマのデータをかんたんに、リアルタイムに取得・可視化し、さらにそのデータを活用できます。
Cariotは多くの機能を有するため、デジタコは最低限の機能がある機種を導入すれば問題ありません。デジタコとCariotの併用によって、優れたストパフォーマンスが実現します。

データの分析・抽出がしやすい
Cariotは、GPSによる位置情報や走行ルート、活動エリアの重複、急加速・急減速、急ハンドル、最高速度、速度超過などの車両に関わるあらゆるデータを自動取得し、リアルタイムで保存・蓄積できます。また、データの分析・抽出にも優れています。蓄積したデータを利用し、業務効率化や業務環境の改善などに役立てることが可能です。

データの破損リスクを防止できる
Cariotは、クラウドを利用した動態管理システムです。取得したデータはサーバーに送られ安全に保存されるため、データの破損リスクを防止できます。ストレージやサーバーを自社で構築・管理する労力やコストもかかりません。

 

6.まとめ

デジタコは使いやすく、アナタコと比較して改ざん・偽造をしにくい点がメリットです。高機能なデジタコは、業務の効率化が期待できるため魅力的ですが、導入コストはネックになります。
そのような時に役立つのが「動態管理システム」です。信頼できる動態管理システムを併用すれば、デジタコに高機能を求める必要がなくなり、トータルの導入コストを抑えることができます。
 
 
※本記事の情報、及び画像は、記事作成時点のものです。詳しくは最新の情報をご確認ください。
※2023.08.15 改訂

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