共同配送とは?メリット・デメリットと物流業界における課題解決について

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※当記事は2023年8月15日に改訂されています。

こんにちは。Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。

物流業界には、少子高齢化の影響によるドライバー不足、「働き方改革関連法」への対応や車両等からのCO2排出量削減等環境への配慮が求められるなど、さまざまな課題があります。また、宅配需要の増加、燃料費の高騰など、物流・輸配送業界を取り巻く環境は大きく変化しています。

今回は、物流業界の課題を解決し、持続可能な物流の確立に向けて注目がされている「共同配送」についてお伝えします。

 

1.「共同配送」への取り組み

1-1.「共同配送」とは?

「共同配送」とは、複数の物流企業・事業所が連携し、複数企業の商品を同じトラックやコンテナなどに積み込み輸送する輸送手段のことです。
この手段を活用することで、車両台数を削減しながら効率のよい輸送が可能となるだけでなく、経費削減効果や慢性的な労働力不足、長時間労働の改善、荷役作業の軽減、交通渋滞の緩和効果やCO2の削減効果と多くのことに期待ができます。
現在、環境の変化による需要の高度化・多様化による貨物の小口多頻度化への対応など、多種多様な対応を求められている物流業界にとって、輸送・保管・荷さばきを合理化できる「共同配送」は、複数の課題を解決するひとつの方法となり得ます。


画像:国土交通省「物流分野におけるモビリティサービス (物流MaaS)勉強会とりまとめ 説明資料
※画像が小さくて見にくい場合は、リンク先PDFをご確認ください。

共同配送は、大きく分けて2つのパターンがあります。

  • パターン1:荷主が異なる荷物を、特定の輸送業者を利用して輸送すること
  • パターン2:複数の輸配送事業者が協力し、集荷や配送配達を行うこと

通常、請け負った荷物は各社がそれぞれの車両等を使い独自のルートで輸配送を行っていますが、積載量が少ない状態でも自社で荷物を輸配送しなければならない場合は、その都度、経費がかさんでしまいます。そこで、複数の企業の荷物を集約することで、輸送時の積載率を向上させ、集荷や配送業務の効率化が実現します。

持続可能な物流の維持に向けさまざまな施策が打ち出されていますが、さらなる合理化に向け、2016年10月1日には改正された物流総合効率化法が施行されました。同法では、その目的と制度の概要を下記のように記しています。

■目的

  • 我が国産業の国際競争力の強化
  • 消費者の需要の高度化・多様化に伴う貨物の小口化・多頻度化等への対応
  • 環境負荷の低減
  • 流通業務に必要な労働力の確保

※経済産業省「物流総合効率化法(流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律)の概要」より引用

■制度の概要
「二以上の者が連携して、流通業務の総合化(輸送、保管、荷さばき及び流通加工を一体的に行うこと。)及び効率化(輸送の合理化)を図る事業であって、環境負荷の低減及び省力化に資するもの(流通業務総合効率化事業)を認定し、認定された事業に対して支援を行う」
※経済産業省「物流総合効率化法(流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律)の概要」より引用

また、企業・事業者には、必要経費の補助や税制特別措置、借り入れ限度額等に対する支援等も実施し、「共同配送」への取り組みを後押ししています。


画像:経済産業省「物流総合効率化法(流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律)の概要

1-2.「共同配送」実現のための提言

これまでも官民が一体となって、安定した物流の維持に向けた施策が打ち出されてきましたが、国土交通省は、2020年6月に「共同配送」の取り組みについて、「ヨコの連携にとどまらず、サプライチェーン上の各関係者が同じゴールを目指して連携する取組を広義の『共同物流』と位置づけ、幹線物流・地域内物流ともにその取組を推進していくべき」との提言を行い、下記の4点について支援することを公表しました。

  1. 意識の変革の支援
  2. 標準化の支援
  3. 見える化の支援
  4. 制度的支援


画像:国土交通省「連携による持続可能な物流に向けて
※支援策の詳細は、国土交通省のHPでご確認ください。

支援策が整えられた一方、「共同配送」を実現するためにはさまざまな課題があります。それらを解消すべく、2020年6月、経済同友会は「物流クライシスからの脱却〜持続可能な物流の実現〜」を公表し、「共同配送の実現」に向けた具体策について、下記の提言を行いました。

  • ハード面:標準的なパレット・ダンボールの規格の標準化
  • ソフト面:デジタル化による標準的な混載品質基準の策定

「共同配送」を実施するためにはまず初めに、各社がそれぞれの製品に合わせたパレットやダンボールではなく、統一規格で荷姿をそろえなければなりません。また、商品の温度管理が必要な荷物や鮮度・キズなど、他社製品への配慮、商品を集め保管するための共同物流センターの確保も必要です。
この他にも、複数社の製品を安全かつ確実に運ぶためには、各社で異なるデータや管理システムを統一し、事業者間の共通ルールの策定や情報共有の仕組みづくりなど、関係者間での業務を標準化するための共通のシステムを構築・導入することが求められています。管理システムをデジタル化し確実に運用することが、「共同配送」実現の鍵となりそうです。


画像:農林水産省「農産品物流の改善・効率化に向けて

 

2.最近の物流業界における共同配送の事例

物流業界が抱える課題を解決する方法のひとつ「共同配送」に関して、関連省庁も実証実験を開始しました。

2022年2月、経済産業省の支援の元、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の一環として、大手コンビニ3社の地方における共同配送の実証実験を行いました。

物流を効率化することによる買い物困難者対策、フードマイレージの削減、運行トラック数の減少、温室効果ガス排出量の削減を目的として、店舗密度が都市部よりも低い地方部において共同配送の実証実験を行いました。
北海道の函館エリアにて、2022年2月21日から1週間程度、「①コンビニの配送センター間の物流の効率化」と「②遠隔地店舗(買い物困難地域)の配送の共同化」の2つを実施。取り組むコンビニチェーンの物流コストの削減につながるだけではなく、トラック輸送の効率化による温室効果ガス排出量の削減にも貢献する取り組みです。
遠隔地店舗(買い物困難地域)の配送の共同化では、地方部の店舗への配送効率の向上、買い物困難者対応などが期待できます。


画像:経済産業省「大手コンビニ3社の地方における共同配送の実証実験を実施します

この他にも、2020年9月11日から大手飲料メーカーと食品メーカー・物流企業が「共同輸送」を開始しました。この取り組みでは、関東〜九州間において海上輸送の一部を共同輸送に切り替え、各社が取り扱う製品の種類・数量・組み合わせなどを工夫しながらパレットサイズが異なる製品を混載し、輸送を行っています。この共同輸送では、積載率向上によりトラックの使用台数を20%削減できるとしています。

「共同配送」の取り組みは、食品以外の品目を輸送する際にも活用されています。
石油化学製品を取り扱うある物流企業では、GPSによるリアルタイム商品管理システムを利用した独自のシステムを構築・活用しながらミルクラン方式※(巡回)で集荷をし、共同配送を行っています。現時点では、同じような荷姿の製品の輸送を行っているものの、今後は、異なる種類の荷物を運ぶために積載率の向上・車両の仕様を工夫する必要があるとしています。

「共同配送」とは異なりますが、一部地域では、物流の維持と輸送の効率化を目的に乗客と宅配荷物を同時に運ぶ「貨客混載」も実施されています。これは、過疎地域の物流維持や配送の効率化・生産性向上への取り組みとして、鉄道・バス・タクシー等の交通機関の空きスペースを利用し、乗客と宅配荷物を同時に運びます。

※ミルクラン方式
巡回集荷のこと。1台の車両で、複数の荷主をまわって商品や部品を集荷する方式。牛乳メーカーが牛乳を集荷するために、複数の牧場を巡回することから名付けられた輸送方式。

 

3.共同配送のメリット・デメリット

共同配送は、物流業界における課題の解消と、社会・経済的インフラを支える物流を維持するために効果のある方法ですが、メリットとデメリットが存在します。

■メリット
・配送効率と積載率の向上
共同配送では、複数の物流企業の荷物をまとめて積載・輸送するため、各企業・事業所が荷物の量に関わらず荷物を輸送できるので積載率が上がります。また、輸送ルートを固定化することで、納品時間も安定するほか、他社の荷物と同時に配送されるため荷受けの手間を省くことができ、荷主・荷受け側双方の業務負担が軽減されます。

・ドライバー不足や労働条件の改善
大型トラック・船舶・鉄道を利用し、一度により多くの荷物を輸送することは、ドライバーの長時間労働の緩和や業務負担の軽減につながります。

・コスト削減
車両や船舶等の稼働台数が削減できることで、燃料費や人件費の削減につながりコスト削減が実現します。コストが減った分を輸配送料金に反映することで料金を割安に設定することができ、顧客側にもメリットです。

・CO2排出量の削減
車両等の稼働台数を削減することで、CO2排出量を削減し、環境に配慮した輸送が実現します。

■デメリット
・柔軟な対応が取りにくい
複数の物流企業・事業所が共同で荷物を輸送するため、急な変更や追加の積載などイレギュラーな対応ができない可能性があり、関係者間での調整が困難になることが予想されます。また、一度により多くの荷物を輸送するため、個別対応や時間指定への対応が難しくなります。

・配送状況の把握が難しい
複数社の荷物を混載して輸送するため、自社の荷物が今どこにあるのか、いつ到着するかの把握が難しくなる可能性があります。荷物を追跡するためには、既存システムの改修や他社と共同のシステムを利用する必要があります。

・配送料金の統一が難しい
現在、料金は各社が独自に設定をしていますが、連携する各社で料金の調整が必要になります。どの程度の料金設定が妥当か、事前に綿密な話し合いが必要です。

・輸送のためのパレットやダンボールの規格を統一するまでに時間がかかる
効率よく荷物を積載するためには、各社が独自に採用しているパレットやダンボールの規格を全社で統一する必要があり、「共同配送」を実施するまでに時間がかかる可能性があります。

上記以外にも、荷物の破損・紛失時の対応をどのように行うかなどその他の問題が発生することも考えられるため、関係者間で事前に条件や責任の範囲などについてしっかりと話し合うことが重要です。

変化の中にある物流業界は、これまで以上に円滑な物流を維持するための仕組みづくりと共に、関係者間のシステムの標準化などの相互連携を図るなど、持続可能な物流を維持し機能させるための環境整備が求められています。
これらを実現するためには、各社それぞれの業務における“ムリ・ムダの削減”や生産性向上への取り組みだけでなく、協力・連携を強化しながら業務を行うための新しいメソッドを取り入れることが必要です。


画像:農林水産省「共同輸送(トラックの共同利用及び中継輸送)

 

4.さまざまな工夫を試み始めている物流業界に、Cariotが支援できること

前項でもお伝えしましたが、複数の企業が連携・協働して行う「共同配送」をスムーズに実施するためには、関係者間で輸配送を行う際に必要となる情報を共有し、活用する仕組みづくりが必要です。
共有する情報には、動態管理をデジタル化し共有することで、ルートの把握、荷物量の把握や空きスペースの把握による積載率向上、車両や倉庫の稼働率の見える化、荷物の到着予定時間の共有などがあります。

車両動態管理クラウドCariotでは、現在の業務だけでなく、共同配送を実施する際にも役立つ機能をご用意しています。

■DriveView
リアルタイムで更新される車の位置情報から「車は今、どこにいるのか」がわかり、ドライバーとの電話確認のやりとりをしなくとも、車両がどこを走行しているのか一目で確認ができます。次の配送先への到着時間を事前に確認をすることも可能です。

■配送計画機能
「配送計画機能」とは、「どのような順番で、いつまでに目的に地到着すべきか」という「配送計画」をCariot上で作成・登録し、配送の進捗状況・予実管理ができる機能です。「予実レポート出力機能」と併せてご利用いただくことで、配送効率・生産性向上の手がかりを見つけ出しやすくなります。
遅延検知機能もあるので、遅延発生時にはすぐに対応ができます。

■DriveCast
本機能は、社外の関係者と車両の位置情報を共有する機能です。車両の到着予測時間の確認ができるため、配送先からの問い合わせ業務の負担を軽減できます。共有した情報は、スマートフォンやタブレットでもご確認いただけます。共同配送により、関係者が増えた場合にも、このURLを予め共有しておけば、突発的に何かが起こった際の対応もスムーズに行えるでしょう。

■運転日報の自動作成機能
駐停車の時間や場所を自動記録。スマホアプリでは移動や待機・休憩・作業などの活動ステータス、会社に合わせた業務活動の詳細内容と写真を登録でき、運転日報をデジタルで管理できます。

■Cariotモバイルアプリ
共同配送において、車両にデバイスを取り付けることが難しい、という場合には、ドライバーのスマートフォンにアプリをインストールし、車両やドライバーの状況を把握することも可能です。

アプリからでも運転時間、走行距離、訪問件数や滞在時間、駐停車等の時間、位置情報を自動で記録できます。また地図上でも走行軌跡を確認できます。ステータス(移動や配送、休憩など)や任意の活動ステータスの登録、画像のアップロードもできるので、顧客ごとに詳細な業務活動が確認できます。

※本機能は随時アップデートを行なっております。

「共同配送」を円滑に行うためには、輸配送業務に関わる業務を関係者間で共有することが大切です。Cariotのシステムをご利用いただくことで、関係者間のスムーズな情報共有と確認だけでなく、荷待ち時間の削減や業務効率化が実現します。
この機会に、Cariotの導入をぜひ、ご検討ください。
 
 
※本記事の情報、及び画像は、記事作成時点のものです。詳しくは最新の情報をご確認ください。
※2021.05.06 改訂
※2023.08.15 改訂

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