道交法改正、新たな違反の創設。「あおり運転」厳罰化へ

2019.09.27管理者必読の法律情報
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こんにちは、Cariot(キャリオット)編集部です。

以前、ドライブレコーダーに関するブログ記事の中で、警視庁は近年社会問題となっている「あおり運転」に対する取り締まりを強化していることをお伝えしました。
その結果、2018年の「車間距離保持義務違反」摘発件数は前年比1.8倍の1万3025件となったものの、あおり運転自体の減少には至っていない現状をご紹介してきました。そんな折、茨城県の常磐自動車道で“あおり運転殴打事件”が発生。警視庁としては道路交通法(以下道交法)や刑法の改正、新規立法などの法整備などでの厳罰化を検討していましたが、9月10 日に開かれた自民党交通安全対策特別委員会でその方針を固めました。

今回は、その改正法案の内容から、他国の法制度との比較、改正後の罰則案についてなどをまとめてご紹介します。
 
 
【目次】
1. 現在、罰則規定がない「あおり運転」
 1-1. “あおり運転殴打事件”で適用された罰則とは?
 1-2. 現行法で適用される「あおり運転」罰則一覧

2. 厳しい?甘い?「あおり運転」、他国法制度の現状
 2-1. 事実上の“永久免許取消”もあるイギリス
 2-2. 裁判所の判断で、生涯免許剥奪が可能なドイツ

3. あおり運転を新たな「違反類型」として創設へ
 3-1. 警察官など“現場の声”も取り入れ、実効的な取り締まり実現へ
 3-2.「暴行罪」より厳しい罰則を検討中

4. 2020年の通常国会への提出目指す
 
 

1. 現在、罰則規定がない「あおり運転」

1-1. “あおり運転殴打事件”で適用された罰則とは?

8月に茨城県の常磐自動車道で起きた、“あおり運転殴打事件”。蛇行や割り込み、急ブレーキなどを繰り返し、ほかのクルマを無理に止めさせる様子に衝撃を受けた方も多いようです。さて、世間からの注目を集めたこの事件、一体どのような罰則が適用されたのかご存じでしょうか? 
実は、道交法の罰則ではなく刑法の「強要罪」が適用されたのです。現行法ではあおり運転を直接取り締まる法律はなく、これまでには「暴行罪」などが適用されてきました。より罰則の重い強要罪があおり運転に適用されることは全国初のケースであり、この事件の悪質性を示しているのかもしれません。
 

1-2. 現行法で適用される「あおり運転」罰則一覧

上記の通り、現在「あおり運転」そのものに対する罰則規定がないため、今までの摘発において警察は以下のようなさまざまな法令を駆使してきました。

<現行法における「あおり運転」の罰則一覧>

◆道路交通法
・車間距離保持違反 
(高速道路)3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金
(一般道) 5万円以下の罰金

・急ブレーキ違反、追い越しの方法違反
 3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金

・進路変更防止違反
 5万円以下の罰金
 
※より悪質な場合(相手に心理的に恐怖心を与えたケースなど)
 
◆刑法
・暴行罪
 2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金

◆自動車運転死傷処罰法
・危険運転致死傷罪
(負傷)15年以下の懲役
(死亡)1年以上の有期懲役
 
このように、どのような危険行為が行われたか、相手のドライバーにどのような恐怖を与えたかに応じて、道交法に限らず刑法なども適用し処罰を行っているのが現状のようです。

 

2. 厳しい?甘い?「あおり運転」、他国法制度の現状

このようなあおり運転に対する日本の法制度ですが、現時点では他国と比べて厳しい?甘い? どのような位置付けになるのでしょうか? 法整備が進んでいるといわれ、自民党交通安全対策特別委員会でも紹介されたイギリス、ドイツの例をみていきましょう。
 

2-1. 事実上の“永久免許取消”もあるイギリス

イギリスでは、あおり運転などに対しては死傷者の有無に関わらず危険運転罪が適用されます。
死亡・重傷事故を起こした場合には2年以上、事故に至らなかった場合でも危険運転の行為で1年以上の免許取消というルールを採用。さらに、悪質な事故などの場合には事実上、永久免許取消となった事例もあるようです。
 

2-2. 裁判所の判断で、涯免許剥奪が可能なドイツ

ドイツにおいては、無謀な運転によりほかの人や所有物に危険を与えた場合には、6ヶ月以上5年以下の免許取消という重い罰則を科しています。
また、裁判所が悪質で危険と判断したケースにおいては生涯免許剥奪も可能に。ほかの車に著しく攻撃的であるなどの場合、事故の大小に関わらず処罰がなされるなど厳しいルールとなっています。

これら他国のケースと比べると、日本ではあおり運転自体に対する罰則が無く、現状では法整備が十分であるとは言い難い状況なのかもしれません。

 

3. あおり運転を新たな「違反類型」として創設

そのような背景も踏まえ、警視庁では他国の例も参考に「あおり運転」の一刻も早い削減に向け体制を整えていく方針のようです。
 

3-1. 警察官など“現場の声”も取り入れ、実効的な取り締まり実現へ

警視庁の構想では「あおり運転」にあたる行為を新たな違反類型として道交法に新設し、その規定で取り締まりを可能とすることを改正の柱とする意向です。
ほかのクルマの走行に危険を生じさせたり、停車を余儀なくさせたりといった行為を対象に、実態に即した実効的な取り締まりを行いたい考えで、具体的な方法については、各都道府県の警察官など、現場の意見を踏まえたうえで固めていくようです。
 

3-2.「暴行罪」より厳しい罰則を検討中

ドライブレコーダーの普及により、最近ではあおり運転や幅寄せなどの様子がさまざまなメディアで取り上げられるようになっています。それに伴い、各方面から危険運転を問題視する声が上がってくるようになりました。
こういった点も鑑み、新たに定める罰則は「暴行罪」より厳しくすることが検討されているようです。

前述のとおり、現行の暴行罪は2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金となっています。現時点では具体的な内容などは発表されていませんが、実際にはどの程度の厳罰となるのか今後注目していきたい点です。

 

4. 2020年の通常国会への提出目指す

さらに今回の方針によると、新たな罰則の創設だけでなく、関係する既存の罰則引き上げも同時に検討されているようです。
「あおり運転」削減の大きな一歩となるであろう、今回の改正法案。現場の意見を取り入れるためには、ある程度の時間が必要となってくるため、当初予定されていた今秋の臨時国会への提出は見送ることになる見込みです。
遅くとも、来年2020年の通常国会への提出を目標に調整を進めていくようです。

今後、法改正に関する新たな情報がありましたら、こちらのブログでも随時ご紹介させていただきます。社会の安全を守るための法整備が、現状に即した実効的なものになることを期待したいですね。

 
 
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