Cariotのコネクテッドなブログ

物流現場の深刻な課題「ドライバー不足」

■物流現場の深刻な問題
物流現場に調査等で出向くと、トラックターミナルにいるドライバーの高齢化が進んでいることに驚く。現場責任者になぜかを聞いてみると、以下のような回答があった。

「ドライバーの募集広告を出しても応募がない」
「やっと採用が決まっても、少しでも条件の良いところに行ってしまう」
「ましてや新卒などはまったく入ってこない」

地方都市の中堅物流企業にいたっては、高齢者ドライバーの姿さえも見られず、ターミナルには動かない(動かせない)トラックが停まっている。このようなトラック、ドライバー不足を受け、ある物流事業者の方からは運賃水準に関する潮目が変わったとの話題や、荷主から配送能力確保の要請がくるようになったとの話もあり、これまでにはないトレンドになっている。

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■深刻さを数字で見てみる
国土交通省の自動車保有台数及び生産台数の推移では、トラック(含トレーラー)保有台数は以下の推移となっている。

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この10年で約16%車両保有台数が減少していて、輸送能力確保が荷主にとっても大きな課題になっていることが分かる。また貨物自動車運送事業者数(一般)は、ここ数年は事業者数が約5.7万社程度のレベルで推移しており、事業者数増加に伴う輸送能力拡大は期待できない状態になっている。

トラックドライバーに目を向けると、厚生労働省の職業別有効求人倍率(パートタイムを含む常用)では、自動車運転の職業は以下の推移となっている。
※有効求人倍率:仕事を探している人あたり何件の求人があるかを示すもの

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建設躯体工事従事者(ビル、家屋などの建設工事に関連して、型枠の組立作業、とび・鉄筋組立てなどの躯体関係の仕事に従事)の有効求人倍率は、2014年で7倍を超えている。ドライバー職を希望される方が、全て建設躯体工事従事者を希望するわけではないが、東京オリンピック建設需要等を勘案すると、物流業界と建設業界で人材の引合いをしている状況にあるとも言える。

 

■あの手この手でのドライバー確保
ドライバー確保のために物流事業者の中には新しい取り組みを始めるところが出てきている。例えば社員紹介制度などを取り、社員の知り合いが入社まで至った場合に紹介料として10万円支払うといった物流事業者も出てきている。定着率も良いと聞いている。

再雇用制度を積極的に推進し、定年退職したドライバーを地場(近距離)配送で採用する物流事業者もいる。年齢制限は特になく、健康診断結果を一定基準でクリアすれば採用となる。

女性が安心して働けるように託児所を併設した物流センターもあり、好評を得ているようだ。ただ女性は男性と比較して非力なところもあり、30項目にも及ぶトラックを動かす前の始業前点検などはハンマーなどを利用するため、それを理由に辞める女性もいる。これについては車輛部品にセンサーを付けて、ゆるみや劣化、損傷などを自動的に検知できる仕組みがあれば、女性の定着率も高くなると考えている。IoTの物流現場への適用も物流事業者は検討すべきである。

 

kamaya 釜屋 大和 (Kamaya Yamato) 氏 プロフィール
ロジ・ソリューション株式会社 主席コンサルタント。1993年センコーに入社後、コンサルティング部門に所属し、3PL組織の立ち上げに従事。その後日本IBMのクロスインダストリー営業部にてロジスティクスITソリューションを販売。楽天株式会社の楽天物流事業を経て、現在はロジ・ソリューションにて物流コンサルティングを実施。共著として「図解でわかる 物流の基本としくみ」(2015年、オムニ出版)など多数。3PL協会のEC物流委員会・幹事を務める。

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